モーリス・ベジャール・バレエ団『ボレロ』ほか。

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(写真は会場に展示されていたものです)
モーリス・ベジャール・バレエ団『ボレロ』ほか@大阪厚生年金会館

「これが死か」
ジュリアン・ファヴロー
カテリーナ・シャルキナ
カトリーヌ・ズアナバー
エリザベット・ロス
ダリア・イワノワ


「イーゴリと私たち」
シェフ:ジル・ロマン
パ・ド・カトル:カテリーナ・シャルキナ、カルリーヌ・マリオン
        ダリア・イワノワ、ルイザ・ディアス=ゴンザレス
パ・ド・トロワ:ティエリー・デバル、ジュリアン・ファヴロー、ダフニ・モイアッシ
パ・ド・ドゥ:マーティン・ヴェデル、カトリーヌ・ズアナバー

「祈りとダンス」
ルーミー:男性全員
3つのバラ:ルイザ・ディアス=ゴンザレス、カトリーヌ・ズアナバール、ダリア・イワノワ
炎:ダヴィッド・クピンスキー
デュオ:カテリーナ・シャルキナ、ジュリアン・ファヴロー
ゴレスタン: 男性全員
パ・ド・ドゥ:ヨハン・クラプソン、アレッサンドロ・スキアッタレッラ
パ・ド・トロワ:ジュリアーノ・カルドーネ、エティエンヌ・ベシャール、ニール・ジャンセン
        アルトゥール・ルーアルティ
パ・ド・カトル:ガブリエル・バレネンゴア、ティエリー・デバル
        マーティン・ヴェデル、エクトール・ナヴァロ
ソロ1:那須野圭右
ソロ2:ドメニコ・ルヴレ

ボレロ
メロディ:エリザベット・ロス
リズム:ドメニコ・ルヴレ、那須野 圭右、ジュリアン・ファヴロー、マーティン・ヴェデル
他、カンパニー男性

取り急ぎ、キャストのみアップっす。
ほとんど東京公演と同じかな?
「祈りとダンス」のパ・ド・トロワ、
「トロワ」(=3)なのに4人名前があるのは原文ママです。うーむ。


・「これが死か」
音楽は、H.ヘッセとJ.アイヘンドルフの詩にR.シュトラウスが曲をつけたもの。
ヴォーカルはE.シュワルツコップです。

死の間際にある男のところに、かつて愛した4人の女性がかわるがわる現れて…
でも、男は第4の女性のことをまったく思い出すことが出来ない。

月並みな感想ですが、「そうか、やっぱり女性は愛と死の象徴なのか」と。
3月に見たノイマイヤーの『時節の色』を思い出しました。
料理の仕方はまったく別ですけれど。
「これが死か」の方が、より抽象的でシンボリック。

・「イーゴリと私たち」
イーゴリとはI.イーゴル・ストラヴィンスキーのこと。ベジャールの遺作の一つです。
音楽は、演奏会のリハ中のイーゴル・ストラヴィンスキーの声と、
彼のヴァイオリン協奏曲とを組み合わせて使っています。
ストラヴィンスキーの声や、彼が指揮者もやってたことは、以前見たドキュメンタリーで知ってたんですが、
その声をこういう風に使っちゃうんだー、というのがまずビックリ。
リハ中だから、もちろん拍子を取ってたりはしますけど、基本的には普通に話してる声ですからねえ。

で、ジル演ずるシェフ=ストラヴィンスキーなわけですね。
指揮者という仕事は、音楽的な力量は当然のこととして、
それに加えて「華」ってやつを持ち合わせていないといけないわけですが、
そこのところ、さすがジルという感じでした。
あとは、パ・ド・トロワのジュリアン・ファヴローはやっぱりカッコよかったです。
キャストの紹介に珍しく生年が書いてあったんですが、
ジュリアンてば実は同い年なのか…(77年生まれ)。うーむ(笑)。

(つづく)
・「祈りとダンス」
この日一番楽しみにしていた演目。
『ルーミー』だけは、2年前の『愛、それはダンス』で見ていたので。
やっぱり面白くて、大満足でした。
曲はギリシャ~中近東、いわゆる「オリエント世界」の伝統音楽。
踊りももちろんそういう要素満載なんですけど、でもやっぱり技法は「バレエ」なんですよね。
民族音楽・舞踊を取り入れることで、人間の本能的な部分というか、根源的なものというか、
そういうところに迫っていくような、そんな作品でした
特に、『ルーミー』のひたすら旋回運動の陶酔感とか、『ディオニソス』の荒々しい力感とか。
こういうのを男性群舞でやられるとめっちゃグッと来ます。ツボです。
あと、3つのバラの女性のみなさまの衣装に、度肝を抜かれました(笑)。
それがまた似合ってるんだよなあ。特にズアナバール。ステキ。

・「ボレロ
今回ある意味興味津々だった演目。
もちろん、これまで何度も見たのですが、今までは大体「○○のボレロ」という感じだったんですよね。
○○にはリズムを踊るダンサーの個人名が入るわけですが、
僕の場合、これまで生で見たのは、ギエム、高岸さん、水香ちゃん。
で、メロディはいずれも東京バレエ団のみなさま。

それに対して、今回リズムはエリザベット・ロス。
もちろん好きなダンサーですが、他の人たちに比べれば、
やっぱり事前の情報量(というか、思い入れというか思い込みというか)は段違いです。
そうすると、リズムとメロディの見てる側にとっての比重も変わりますよね。
そんなわけで、どんな風に見えるのかなあと楽しみにしてたんです。

で、結果は…面白かったなあ。
正直、今までで一番メロディを楽しめたと思います(笑)。
座席位置という事情もありますけれど。
エリザベット・ロスももちろん良かったんですが(この人の妖艶な雰囲気は好きです)、
なんていうか、「リズムがメロディを踊らせてる」という感じではないんですよね。
でも、メロディが自分達の意思で踊ってる風情でもなくて、
そうすると、まるで「そこにはない何者かの意思で踊らされてる」ような雰囲気に見えたんです。
それってけっこう不気味で。そういう違和感?のようなものが、個人的には面白かったです。
んー、しかしリズムの「四天王」はカッコよかったな~。

ちなみに、エキストラの古川さんはちゃんと発見できました(笑)。
「5公演」だったのは、学校公演が1回あったんですね。
学校公演なんて、実にうらやましい制度だ…いいなあ。

残る公演は、『バレエ・フォー・ライフ』が2回。
じっくりかみ締めてこようと思います。