ヴィシニョーワ&マラーホフ『ジゼル』。

ヴィシニョーワ&マラーホフ『ジゼル』(世界バレエフェス全幕プロ)
フェスティバルホール(大阪) 8/19

振付・演出/J.コラーリ、J.ペロー、M.プティパ、L.ラヴロフスキー 
改訂振付(パ・ド・ユイット)/V.ワシーリエフ 音楽/アドルフ・アダン 
指揮/アレクサンドル・ソトニコフ 演奏/大阪センチュリー交響楽団 

出演
アルブレヒト:ウラジーミル・マラーホフ
ジゼル:ディアナ・ヴィシニョーワ
ヒラリオン:木村和夫
バチルド姫:浜野香織
公爵:後藤晴雄
ウィルフリード:森田雅順
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
 小出領子-古川和則、高村順子-中島周、長谷川智佳子-平野玲、佐伯知香-大嶋正樹
ジゼルの友人(パ・ド・シス):大島由賀子、西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子
ミルタ:井脇幸江
ドゥ・ウィリ:小出領子、長谷川智佳子

今日はチケットを取ったことを半ば忘れていたヴィシニョーワ&マラーホフ『ジゼル』でした(苦笑)。
そもそも席が2回最後列と激しく遠い上に、いささかお疲れ気味の状態で見ていたので、
(どうも休み明けの夏期講習が結構効いている感じ)あまり感想はあてにしないで下さい。

京都で用事を済ませてから大阪に行ったのですが、開演10分弱ほど前に付いたら、入り口はえらい混雑。
なんか客層がいつもにまして女性に振れているような気が。やっぱマラーホフ効果?
お手洗いがひたすら女性専用になっていて、最上階から地下一階まで行かなくちゃいけなくて往生しました。

で、入って早速パンフを買おうと思ったら、2500円とえらく高くてたじろいでしまいました。
よく考えたら、世界バレエフェス全体のパンフだったんですね。
ほとんど全部見てない公演・出演者の解説か~、とは思ったのですが、
まあそれでもいいやと思って購入(ちなみに『ジゼル』はたったの4ページ分)。
面白かったから良かったですけどね。人の書いたレビューを読むのにも役に立つし。
個人的には、去年兵庫県立で見た『春の祭典』の公演の中で、
ヤンヤン・タン×デヴィッド・アーシーが演じた「コンティヌウム」の作曲者が
ジェルジ・リゲティだったことが、このパンフでわかってすっきりしました。
(あわせて、この演目があの公演中でいかに浮いていたかもよくわかった)

さて、公演そのものですが。
まず、オケが強烈にヘチョかった。しっかりせーよセンチュリー!!
なんというか、どってことない序曲(技術的にではなく、音楽的にね)を、
ヘチョヘチョのオケで聞かされると、それだけでいささかなえますね。
久々にカーテンコールでオケに拍手しませんでした。

さてさて、いろいろとうわさには聞いていたマラーホフのアルブレヒトですが、
同性から見ているとひじょーにいけ好かない男子でした(笑)。
まずもって、「(わざわざ)身分を隠して村娘と付き合う」という
根性からしていけ好きませんが(笑)。
(ま、これはマラーホフがどうこうというより、単なる設定)
そのくせジゼルとは本気モードだし、おまけに迫り方が気障でエロい(笑)。
あげく、ジゼルに身分をばらしちゃったヒラリオンに逆切れ。

一方、木村さんのヒラリオンについてもいろいろ聞いていたわけですが、確かに「いい人」でしたね。
なんというか、ジゼルとの関係については「証文の出し遅れ」という感じですが。
(最初の登場シーン、そんなん、黙って獲物とか花とかを置いて帰ってもなあ…)
どっちかというと、二幕の演技の方が印象に残りました。
ジゼルのお墓で、火の玉に出くわして「あわわわ」なところとか、
ウィリたちに強制連行されて引っ立てられてくるところとか。
この演目は初めて見たんですけど、最後「沼に突き落とされる」場面て、
ほんとに放り投げられるんですね、あれ。なんかかわいそう(笑)。

てゆーか、ヒラリオンが「いい人」系の演技だと、最後にヒラリオンだけ死んじゃって、
アルブレヒトが免罪されるのが、なんだか不条理感が増すように思うのですが…。
そうか~、アルブレヒトはジゼルの愛情で許されちゃうのか~。
なんだかとばっちりを食ったヒラリオンはお気の毒。

で、ヴィシニョーワのジゼルですが。
これはいいな~って思いました。
一幕前半の無垢なジゼル、後半の「物狂い」なジゼル、二幕の純化した透明感のあるジゼル、
それぞれの演じ分けがとてもくっきりしていました。
特に「物狂い」なところでしょうか。
単にショックで狂ったんじゃなくて、悲しみとか絶望がきちんと感じられて。

東バのみなさんは、正直、遠すぎて個体識別はできていません(苦笑)。
その分というわけではないですが、二幕の群舞の揃い方はすごくきれいでした。
東バのクラシックの演目はこれまでほとんど見たことがなかった(はず)のですが、
そうか、こんな風になるんだ~、と感心することしきり。
隊列の変化とかも、ピシッと動きが決まっていて気持ちよかったです。
あと、一幕のペザントの踊りの、特に男性のキビキビっとした踊りが個人的に気に入りました。
動きは赤い服のお2人の方が良かったように思います。
どういう組み合わせだったのか、よくわかんないんですけど。

と、そんな感じでした。