萩尾望都『バルバラ異界』。

萩尾望都バルバラ異界
―西暦2052年。他人の夢に入り込むことができる“夢先案内人”の渡会時夫は、ある事件から7年間眠り続ける少女・十条青羽の夢をさぐる仕事を引き受けることになった。そして、その夢の中で青羽が幸せに暮らす島の名<バルバラ>をキーワードに、思いがけない事実が次つぎと現れはじめ…!?
(アマゾンの「出版社 / 著者からの内容紹介」。
 あらすじ・登場人物については小学館の公式HPもどうぞ。)

というわけで、やっと読みました『バルバラ異界』。
完結したのが去年で、すすめられて前から読みたいな~と思ってたんですけど、
昨日たまたまBOOKOFFで全巻見つけて即買い。
いや~、最初から最後まで「スゲ~スゲ~スゲ~」とビックリしっぱなしで一気に読みきりました。


認識論
時間論
不老不死
遺伝子
カニバリズム(食人)
火星人

それぞれのキーワード自体はSFでは定番のものだと思うんですが、
それをこういう取り合わせでこんな風に切った作品は初めてでした。
てゆーか、普通1作品にこんだけの要素をはめ込んだら収拾付かなくなりますよ。
それを萩尾望都は見事にやってのけてしまいました。
しかもたったの全4巻の分量で。
この作品、要約しろと言われたら多分しようがないです。
4巻分全部語らなくちゃいけなくなる(苦笑)。
それぐらい凝縮されてて無駄がないです。
だから、読んでてものすごいスピード感なんですよね。
それ自体にも圧倒されるし、ましてその中で語られる内容の深さといったら。
この分量・この内容の中に、キャラクターやその心理はきっちり描き、
張った伏線はきっちり活かし(ライカの両親のオチは「そう来たか!」という感じでした)。
これ、書き始めの時点・書いてる時点でどーやって組み立ててるんですかね。
信じられない気分です。

それなりに萩尾作品は読んでる方だと思いますが、これだけびっくりさせられた作品は初めてです。
とにかく一度読んでみてください!
いやほんと、すごんですって。渾身の力を込めておススメします。
たったの全4巻なんですから。ぜひぜひ本屋へGO!

昨日はほんとは水樹和佳子の作品を探そうと思ったのだが、
「『イティハーサ』を描いた人」としか覚えていなかったので探せなかったのだ(苦笑)。
(BOOKOFFは作者の50音順でマンガが並んでいるから)
ついでに言うと、昨日は『霧の訪問者 薬師寺涼子の怪奇事件簿』を読んだので、
ほんとはそのレビューを先に書くつもりだったんですが、感想の差により順序が転倒しました。
コチラの感想もそのうちにまた。