羽海野チカ『ハチミツとクローバー』。

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昨日は不快なマンガをこき下ろしたので(笑)、今日はお口直しに面白かったマンガのことを。
今更かもしれませんが『ハチクロ』です。
(まあ、情報の早さというものを重視しているわけじゃないんでいいんですけどね)
以下、ネタバレはほとんどしてないと思いますが、
その分、未読の方には「なんのこっちゃ」な内容だと思います。
未読の方には「まあとにかく読んでみなはれ、絶対面白いから」とだけ申し上げておきましょう。

(以下、やっぱり多少はネタバレしてます。嫌な人は回避して下さいね。)

で、感想ですが。
ひさびさに…というか、史上最大級なくらいヤラれました。
最初のうちは竹本くん・真山くん・山田さんの若さに「アイタタ…」という気分だったんですけど。
なんていうか、やっぱこっぱずかしいですよね、あれ(笑)。これが青春というものかしら(笑)。
美和子さん以下、登場する大人のみなさまの反応は、
ある意味で年齢層がちょっと上の読者の代弁ではなかろうかと思われます。

なんですが、これが後半になってくると、
竹本くんの成長にどんどん感情移入していくことになるわけです。
正直、自分探しという話には個人的にさっぱり興味がわかないのですが、
(なにせいつの間にかやりたいことが決まっていた人間なので)
才能や魅力に対するコンプレックスと克服という話ならよくわかります。
うまく行かない恋愛に対するしんどさや辛さも。
で、最後の最後、「はぐちゃんのサンドイッチ」で撃沈!
もう涙腺がうるうるっとなりながら、「よかった~」と言ってあげたくなる、と。

ストーリー的には多分もっと短くできるんですが、
(人によっては3巻ぐらいで完結させちゃうと思う)
話を引っ張るというより、芸大での生活といったディティールを丹念に書き込むことで、
登場人物の描写にもすごく厚みが出ているし、
ストーリー構成上は「ため」の効果が出て、終盤の盛り上がりに効いてくるのだと思います。

(こっからちょっとだけネタバレ度アップ)
さてそれで。
先に自分が読んだ順序を書いておくと、
 後輩に貸してもらって、まず1~5巻を読み、
 それを返して、6~10巻を貸してもらって読んだ
という読み方でした。
で、最後まで読み終えた瞬間、「1~5巻を返すんじゃなかった~」と激しく後悔(笑)。
全体の筋の最後がああいう風になるって、一体どこら辺から見当がつくもんなんですかね。
最初から読み直して、再チェックしてみたいです。

まあ、花本先生がどうなるのかということ自体は気にしながら読んでいました。
(あと、森田くんがああなるだろうなということもある程度見当はついていた)
というのは、花本先生―理花さん(+原田)という人間関係があって、
理花さん―真山くんという関係が展開すれば、
花本先生はどこに行き着くんだろう?ということが気になるので。

結局、
 花本先生―理花さん(+原田)

 竹本くん―はぐちゃん(+森田)
って、立ち位置的にはパラレルなんですよね。
で、最後に竹本くんの巣立ちを見たときに、
読んでて「がんばれー、幸せになれよー!」って思うわけです。
きっとそう思うのは、言ってみれば、花本先生と理花さんは「二周り目の人たち」、
竹本くん・はぐちゃん・森田くん・真山くん・山田さん…は「一回り目の人たち」であり、
自分はどちらかというとそろそろ「二周り目の人」に入るから、なんでしょうね。