「美麗 院政期の絵画」 展@奈良国立博物館。

というわけで、今日は院政期の絵画展を見てきました。
内容が内容なだけに「絶対見なくちゃ!」だったのですが、会期末に滑り込みセーフ。やれやれ。
師匠が講演をされた関係で、招待券をいただくことができました。ありがたやありがたや。

で、展示の内容は超豪華!
なんたって、オール院政期(&一部鎌倉最初期)の展示品が125件、
うち国宝が49件・重要文化財が57件ですからね。
すごいよなー、非指定文化財が2割以下しかない展示。
平家納経・信貴山縁起絵巻・伴大納言絵巻・地獄草子・餓鬼草子・病草子・粉河寺縁起絵巻・紫式部日記絵巻…
と、ピンでも主役張れますよ、というスター級?の展示品ぞろいです。
つか、第3章「絵巻物の世界」の国宝の展示品にはあと
華厳五十五所絵巻・華厳宗祖師絵伝・寝覚物語絵巻・金光明経(目無経)が含まれているので、
昨年の京都国立博物館の「大絵巻展」と比較すると、
in:伴大納言絵巻・地獄草子・華厳五十五所絵巻・寝覚物語絵巻・金光明経(目無経)
out:鳥獣戯画一遍聖絵玄奘三蔵絵・当麻曼荼羅縁起
ということになります。
うーむ、絵巻単体の展示にまったく引けをとらないのか…。スゴス。
第1章の「美麗のほとけ」(仏画)だけでも、かなり「おなかいっぱい」ですからね。
個人的には、初めて実物を見た平家納経・伴大納言絵巻・目無経・後白河法皇像・後鳥羽天皇像が
眼福でございました。
華厳宗祖師絵伝(義湘巻)は大絵巻展でも見ましたが、
やっぱり「好きな人を追っかけて龍になる」情念が圧巻ですね(笑)。
あとは、でっかい両界曼荼羅(金剛峰寺の血曼荼羅)がどーんと展示されてると、すごい迫力だなー、と。

テーマ別にまとめられた展示の構成も、わかりやすくてとても良かったです。
あとは何より、平日の昼間に行ったので、ことのほか空いていたのが最高でした。
信貴山縁起絵巻なんて、大絵巻展の時には並ばされてベルトコンベア状態で自動的に流されて見ましたけど、
今日は独り占めに近いような感じでじーっと見られましたからね。
京都であれだったんだから、これが東京でやった日にはえらいことになるんでしょうが。
博物館の事業評価とかって、数字化できる部分ということでどうしても動員数とかが重視されるわけですが、
こういういい体験があると、それってやっぱ考え物だよなって思います。
「たくさんの人が見た」と「多くの人に享受された」とは別物ですよねー。
流し見ではえられないものが、じっくりと見ることで得られたりすることがあるわけで。

図録も当然買いましたが、あの内容で1500円というのはほんとお買い得です。
ただなー、これはもうほんと本筋から外れたことなんであれですが、
展覧会のグッズはちょっとどうだろう、と思ってしまいました。
デフォルメされた仏像柄のTシャツなんて着れませんて(笑 外国からの観光客向け?)。
この点は、やっぱ鳥獣戯画が出てた大絵巻展の方に分があるのは仕方ないか。