村上春樹さんのエルサレム賞記念講演。

昨日今日と2日連続で、村上春樹さんの「エルサレム賞」授賞式での記念講演の全文が
毎日新聞の夕刊で掲載されていました。
毎日新聞のHPでも読めます。
まあせっかくなので全文読んでみて下さい。
個人的に面白かったのはこの一節です。
<高くて頑丈な壁と、壁にぶつかれば壊れてしまう卵があるなら、私はいつでも卵の側に立とう>
 ええ、どんなに壁が正しく、どんなに卵が間違っていても、私は卵の側に立ちます。何が正しく何が誤りかという判断は、誰か別の人にやってもらいましょう。時間や歴史が決めてくれるかもしれません。しかし、どんな理由があっても、もし壁の側に立って書く小説家がいるとすれば、作品にどれほどの価値があるでしょう。
「壁」と「卵」のメタファーについては、本文の続きでもう少し展開されているのでそちらをどうぞ。
ファンとしては、非常に得心が行く発言でした。

思うに、個人には個人なりの、政治家には政治家なりの、小説家には小説家なりの戦い方があるのでしょう。
そして、きっと歴史研究者には歴史研究者なりの戦い方があるのだ、と思います。
(もちろん、それぞれに重なり合う部分は当然あるのでしょうが、軸足の置き方という点でね。)
「歴史研究者なりの戦い方」がどんなものか、自分にはまだはっきり見えていませんが。
少なくとも、手段と目的は混同したくないものだ、とは思います。