月の名の由来。

最近は大会報告の準備と並行して、後期の講義の準備もちょっとずつしています。
今年の後期から担当科目が新しく一つ増えるので。
まあ、現実逃避の面も否めませんが…(苦笑)。
でも、10月から始まるから実際やらなくちゃいけないし…と正当化できるのも良くないんだな(笑)。

で、やっていてはたと調べ始めたこと。
睦月、如月、弥生、卯月…
古典の授業でおなじみ、旧暦の月の呼称です。
必ず覚えさせられますけど、そもそもなんでこんな名前なんでしょう。
神無月が「神様がみんな出雲大社に行って、いなくなってしまうから」とかいうのは有名ですが、
じゃあそういう説明はいつ頃からあるのか。

パッと見、それを説明した文献は、藤原清輔『奥義抄』らしいですね。
藤原清輔さんは院政期の歌人で、『奥義抄』はその歌学書。
その中に「物の異名」という項目が立っていて、その付けたりで「十二月の名」が書かれています。
内容がなかなか面白かったし、どうせレジュメで使うし…ということで、打ち込んでアップしてみました(『日本歌学体系』一より)。

正月 むつき たかきいやしきゆきいきゝたるがゆゑ、むつびづきといふをあやまれり。
二月 きさらぎ さむくてさらにきぬをきればきぬさらきといふをあやまれり。
三月 やよひ 風雨あらたまりて草木いよゝゝおふる故にいやおひ月といふをあやまれり。
四月 うづき 波流花<ウノハナ>さかりにひらくるゆゑに卯のはなづきといふをあやまれり。
五月 さつき 田ううることさかりなるゆゑにさなへ月といふをあやまれり。
六月 みなづき 農のことどもみなしつきたるゆゑにみなしづきといふをあやまれり。一説には此月俄にあつくしてことに水泉かれつきたる故にみづなし月と云うをあやまれり。
七月 ふみづき 七日たなばたにかすとてふみどもをひらくゆゑにふみひらきづきといふをあやまれり。
八月 はづき 木のはもみぢておつるゆゑに葉おち月といふをあやまれり。
九月 ながつき 夜やうゝゝながきゆゑによなが月といふをあやまれり。
十月 神無月 天の下もろゝゝの神出雲国にゆきてこの国に神なきゆゑにかみなし月といふをあやまれり。
十一月 しもつき 霜しきりにふるゆゑにしもふり月といふをあやまれり。
十二月 しはす 僧をむかへて仏名をおこなひ、あるひは経よませ東西にはせはしるゆゑに師はせ月といふをあやまれり。

本当は原文がかなのところを漢字に直した方がわかりやすいのですが、
打ち込むだけで疲れたのでパス(笑)。

これが本当に由来として正解か?というのも、ここでは詮索しないでおきましょう。
とりあえず、こんなテキストもありますよ、というお話。
ま、「先に言ったもの勝ち」という面もあります(笑)。