フィギュアスケート選手の五輪連続出場(その1・男子)。

さて、バンクーバー五輪もいよいよ開幕目前です!
フィギュアスケートは、特に男子で前回上位入賞者がこぞって連続参戦し、
空前の豪華な顔ぶれとなっています。

…と、書いてみたのですが。
実のところ、五輪出場選手の顔ぶれって、大会ごとにどの程度入れ替わるもんなんでしょう?
印象論としては、最近になって選手寿命が延びてきたことを反映してるのかなーと
なんとなく思っていたのですが。
気になったので、リレハンメル以降の大会で
「上位10人のうち何人が連続出場を果たしたか?」というデータをピックアップしてみました。
かつてののペア・アイスダンスは「連続出場してちょっとずつ序列を上げる」のが当たり前だったので除外して、
男子シングル・女子シングルのみのデータです。
まずは男子シングルから。

リレハンメル→長野…連続出場3人、現役続行も不出場1人
 1 アレクセイ・ウルマノフ(ロシア)×
 2 エルビス・ストイコ(カナダ)○
 3 フィリップ・キャンデロロ(フランス)○
 4 ヴィクトール・ペトレンコ(ウクライナ)×
 5 カート・ブラウニング(カナダ)×
 6 ブライアン・ボイタノ(アメリカ)×
 7 エリック・ミロー(フランス)△
 8 スコット・デイヴィス(アメリカ)×
 9 スティーブン・カズンズ(イギリス)○
 10セバスチャン・ブリテン(カナダ)×
11位以下の連続出場…2人(13ミカエル・ティルセン(デンマーク)16ミカエル・シュメルキン(イスラエル)※20張民(中国)は2大会後のソルトレイクシティ五輪に出場)

こうやってみると、張民くんの選手生命の長さはすさまじいものがありますね。
典型的なジャンパーなのに。
3大会後のトリノまで出場して、29歳で4回転サルコーを決めてるんですから…(総合10位)。
で、長野の結果はというと、表彰台は1位がウルマノフ→クーリックとなっただけで、
2位・3位はそのまま変わらずだったのは周知の通り。

長野→ソルトレイク…連続出場4人
 1 イリヤ・クーリック(ロシア)×
 2 エルビス・ストイコ(カナダ)○
 3 フィリップ・キャンデロロ(フランス)×
 4 トッド・エルドリッジ(アメリカ)○
 5 アレクセイ・ヤグディン(ロシア)○
 6 スティーブン・カズンズ(イギリス)×
 7 マイケル・ワイス(アメリカ)○
 8 郭政新(中国)×
 9 ミカエル・ティルセン(デンマーク)×
 10 ヴィアチェスラフ・ザゴロドニュク(ウクライナ)×
11位以下の連続出場…7人(11イワン・ディネフ(ブルガリア)14ドミトリー・ドミトレンコ(ウクライナ)15本田武史(日本)19ロマン・スコルニアコフ(ウズベキスタン)20マーガス・ヘルニッツ(エストニア)24イ・キュヒョン(韓国)25アンソニーリュウ(オーストラリア))

上位の連続出場者から、5位のヤグディンが次回表彰台の頂点に登り詰めています。
ストイコとエルドリッジは、当時は「ベテランが頑張って盛り上げてくれた」という印象でした。
驚きは下位の連続出場者の多さ。
ただし、ソルトレイクで上位に顔を出したのは本田くんぐらいです。
思うに、中堅国で実力的に抜けた選手が1人いると、けっこう常連化するんですよね。

ソルトレイクシティトリノ…連続出場2人、現役続行も不出場3人
 1 アレクセイ・ヤグディン(ロシア)×
 2 エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)○
 3 ティモシー・ゲーブルアメリカ)△
 4 本田武史(日本)△
 5 アレクサンドル・アブト(ロシア)×
 6 トッド・エルドリッジ(アメリカ)×
 7 マイケル・ワイス(アメリカ)△
 8 エルビス・ストイコ(カナダ)×
 9 李成江(中国)○
 10アンソニーリュウ(オーストラリア)×
11位以下の連続出場…10人(11フレデリック・ダンビエ(フランス)12ケビン・ヴァン・デル・ペレン(ベルギー)13イワン・ディネフ(ブルガリア)14ブライアン・ジュベール(フランス)15ステファン・ランビエール(スイス)16張民(中国)21セルゲイ・ダビドフベラルーシ)23ゲオルゲ・チッパー(ルーマニア)25ゾルタン・トート(ハンガリー)棄権エマニュエル・サンデュ(カナダ))

ぜんぜん覚えてなかったんですが、エマは棄権してたんですね。
予想の斜め上を行くキャラは当時からだったのか…。
特筆すべきは、上位で現役続行しながら連続出場を逃した選手が3人もいることでしょう。
要因として、一つには新採点の影響、もう一つには4回転の一般化によるケガがあげられるのではないかと。
一方で、下位からの連続出場者は引き続き増加しています。
トップ10に入った選手も、2位ランビ・5位ジュベ・10位KVDPと3人。

トリノバンクーバー…連続出場7人
 1 エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)○
 2 ステファン・ランビエール(スイス)○
 3 ジェフリー・バトル(カナダ)×
 4 エヴァン・ライサチェクアメリカ)○
 5 ジョニー・ウィアーアメリカ)○
 6 ブライアン・ジュベール(フランス)○
 7 マシュー・サボイアメリカ)×
 8 高橋大輔(日本)○
 9 ケビン・ヴァン・デル・ペレン(ベルギー)○
 10張民(中国)×
11位以下の連続出場…5人、現役続行も不出場4人(12ショーン・ソーヤー(カナダ・△)18トマシュ・ベルネルチェコ)20アントン・コワレフスキー(ウクライナ)21ステファン・リンデマン(ドイツ)22ヴィクトール・ファイファーオーストリア)23クリストファー・ベルントソン(スウェーデン・△)25カレル・ゼレンカ(イタリア・△)27ジャマルオスマン(スイス・△)29グレゴール・ウルバス(スロベニア))

こうやって見てみると、連続出場がトップ10中7人はやはり多いですねー。
しかも、そのうち3大会連続出場は実に4人(プル・ランビ・ジュベ・KVDP)。
これにPちゃん、アボット、織田くん、小塚くんといった新星が加わるんですから、
そりゃあ上位争いが読めないわけだよ…。

下位の選手に「現役を続行したけど連続出場ならず」という選手が多いのも、ちょっと面白いところ。
というか、これに該当する選手はみんな好きな選手なのが残念。

全体として、選手生命は確かに延びてきていると思うのですが、
「選手生命が短い」というかつての印象は、実のところ、
金メダリストがそのまま勝ち抜けしていたからそう見えていたのではないか、という気も。
今回も、プルとランビがそのまま引退していたら、それまでとそう大差なかったわけで。

データとしてパキッと何かが見えたわけではありませんが、
とりあえず自分の心覚えのためにもアップ。