『大奥』第六巻。

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出ましたよ~第六巻。
いやー、すごいです。もうすごいとしか言いようがないです。
綱吉編がこの巻で完結しましたが、衝撃的な結末でした…。
「いい意味で裏切られた」っていうのは、きっとこういう場合に使う言葉なんだと思います。
ほんと斬新な綱吉&柳沢吉保像でした。

そして、綱吉と右衛門佐との絡みが本当に素敵でした。
「生きるという事」「男と女という事」に対する右衛門佐の言葉は、
きっとこれが描きたかったんだろうなと思わされました。
このセリフが活きるのも、大奥という舞台設定、そして男女を逆転させた設定だからこそでしょう。

男女逆転ということで言えば、「一人の女性を巡る多数の男性」の話にすることで、
綱吉の場合は特にファム・ファタル的な描き方になりました。
これも、男女を逆転させないままだとそうは行かないよなーと思うところです。
そして、「みんなが上様に恋をする」という構造に関して言えば、
綱吉と女家光の立場はパラレルなんですよね。
女家光を巡る一つの環、綱吉を巡る一つの環と、小さな環が寄り集まって大きな環ができ、
話が吉宗のところに戻ってくる…と、本当に良く出来た構成です。素晴らしい。

さて家宣(・家継)編も始まっていますが、
こちらは「家宣←間部詮房←左京の方」という「追いかけあい・すれ違い」の人間関係ができています。
これがいったいどう展開して「江島生島」の話になるのか、楽しみです。
間部詮房については、あんな美人に「上様~、えぐえぐ」って泣かれたら、
そりゃあ燃えるよなあ、と思いました(笑)。
(史実では、家宣が死んだ時点で詮房は46歳ですが、そういうことは気にしてはいけませんw)

あと、個人的に一番笑ったのは、詮房が左京を側室に上げようとする時の、
吹き出しの脇に書かれた「面倒くさいぞそれは!!」というセリフでした。
偽らざる心情だよなー(笑)。
こういう所々に入っている「遊び」的なところとか、バランス感覚がまた良いです。

詮房といえばもう一つ、男女問わず「将軍の側近」的な存在が多数登場しますが、
忠臣と侫臣・奸臣て紙一重だよな…としみじみ思いました。
やっぱ、どこかで主君をちゃんと相対化して見ている存在(オーベルシュタインみたいな)の方が、
客観的にはいい仕事をするんでしょうね。