『百鬼夜行抄』12。

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久々の刊行。
コミックスで買っているものはだいたい刊行ペースがつかめますが、
(「勝手に不定期連載」状態の作品はあれですが… 苦笑)
文庫版で買ってるものは、うっかりすると出ていたりするので油断がなりません。

一話完結なのに、作品中でちゃんと時間が経過し、さりとてストーリーはさほど動きがない、
という不思議な作品。
今回は珍しく、律と青嵐との関係に動きがありましたが。
考えてみると、この二人の関係って『うしおととら』の潮ととらの関係と似てるんですね。
「獣の槍」に縛られているとらと、「蝸牛との契約」に縛られている青嵐と。
とらは「いつか絶対食ってやる」と言って、結局最後まで潮と行動をともにしましたが、
青嵐は「おまえと一緒にいるとエサになる妖魔に事欠かない」という理由で律とともにいることになるんでしょうか。
そういえば、そんな青嵐に結局言うことを聞かせるのは律の母親(=女性)だ、というところも似てますね。
すごいよなあお母さん、晩ご飯がいるかどうか、青嵐に毎日連絡させるんだから(笑)。
うしおととら』の真由子といい、天然な女性は最強だってことなんでしょうか。

連載開始からかれこれ16年になりますが、
その間、作品のテンションにほとんどアップダウンがないというのも、非常に稀有だと思います。
一貫して淡々とした作品だからできることなんでしょうが。職人的。
いつも、少し可笑しくて、少し切なくて、少し不思議で、少し怖いというのが、きっとこの作品の肝なんでしょう。