映画『エトワール』

先週の土曜日に、たまたま夜中にテレビをつけたら、
映画『エトワール』の放送に遭遇(多分関西のみの放送と思われ)。ラッキ~♪
全部続けてみるのはしんどかったので、細切れにちびちびと見て今に至る。

この映画はパリ・オペラ座バレエ団を題材にした2000年製作のドキュメンタリー映画です。
公開当時、わざわざ映画館で見ることもないかと迷ってて、結局見逃したんですよね。
内容は相当面白かったです。
基本的にはインタビュー・練習風景・舞台映像で構成されていました。
インタビューは、もちろん芸術論・表現論・技術論もとっても面白かったですが、
歳を取ること・引退・結婚・出産といったテーマのインタビューがまた楽しめました。
特に、結婚・出産については、かなり考え方がバラバラ。
印象的だったのは、女性団員の「母親になるってすごく強烈な感動」という発言でしょうか。
なんかこの部分は、やっぱり男性と女性で感想が変わる部分なのかなあと。

練習風景は、「こんなことしてるんだ~」というのが素朴な感想。
スタジオでのレッスンの映像は、ダンサーがどんなことを考えてるのかわかって面白かったです。
リフトの時に気をつけてることとか、マイムや振りの表現で何を意識してるのかとか。
基本的には「何を伝えようと意図しているのか」ではなく「何を受け手が感じたのか」が
問題になるのだろうとは思うのですが、それでもダンサーがどんなことを考えてるのかを知ると、
見え方はまた違ってくるのではないかと思います。
舞台稽古の風景は、普通に楽しかったです。
「そうそう、当日のゲネってこういうバタバタした雰囲気だよね~」という感じ。
(※ゲネ=ゲネラル・プローペの略語。直前の最終リハーサル)

舞台の映像は、非常においしかったです(笑)。
『第九交響曲』と『白鳥の湖』がメインだったんですが、特に『第九交響曲』がありがたい。
これ、ベジャールがベートーベンの『第九』に振付けた作品なんですけど、
合唱をやってた人間としてはぜひ見てみたいんですよね~。
(ただし、合唱団の周りの人たちにこの話をすると、非常にビミョーな反応でしたが)
面白かったけど、見れば見るほど全幕見たくなる…。

ベジャールのインタビューも入ってました。
この人のなんともいえない神秘的な風貌が大好きです。
『第九交響曲』について、「一種のデモ行進だ」とベジャールは語っていましたが、
「なんかベルリンオリンピック(1936年)のマスゲームって感じだな…」という
かねてからの私の感想は、あながち間違いではなかったようです。
なんちゅうか、衣装(女性がエンジのレオタード、男性がエンジのタイツ)と
舞台セット(体育館の床っぽい)がまた、そういう印象を与えるのではないかと。
あと、インタビュアーの「この作品を解説してください」との問いに、
「芸術に解説は不要だ」とバッサリ切っていたのが印象的(笑)。
いいよな~。こんなセリフ一度は言ってみたいものです。