Noism06 『sense-datum』。

Noism06 『sense-datum』
5月22日(月)19:00~ DANCE BOX(大阪)
構成・演出:金森穣
振付・出演:Noism06
音楽:平本正宏
主催:NPO法人 DANCE BOX
企画制作:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館

というわけで、今日は初めてNoism06の公演を見てきました。

感想は…うーん、なんか文章に書けない感じだなあ。
「面白かったか?」と問われれば、答えはYes。
「理解できたか?」と問われれば、答えはNo。
「感じたか?」と問われれば、答えはYes。
えー、それで察して下さい(苦笑)。
パンフレットによると、"sense-datum"とは
【心理学用語】感覚単位(対象が感覚に直接与える刺激)【哲学用語】感覚所与
らしいので、それでいいのかもしれませんが。
多分ねー、感覚的に感じたことを、表現する言葉の持ち合わせがないんですよ、きっと。

踊りに関しては、ごつごつした力感とか身体感が特徴なのかなーと。
あと、表情。徹底して無機質な無表情なのですが、そのことで逆に何かを表現してるんでしょうかね。
引き続き、語尾がことごとく断定ではないところから察して下さい(苦笑)。
好みで言えば、個人的にはこういうのはとても好きですね。

あと、これは視覚効果に関してなんですが、
1か所完全にストロボ発光の照明で踊るパートがあり、これが強烈に印象に残りました。
ストロボ発光の利用自体は多分とっても古典的な手法なのですが、
(確か去年行ったジブリ美術館に、アニメーションフィルム以前の機械として、
 同じメカニズムの機械が置いてあったはず。)
それをダンスの中で見たのは初めてだったので。
この手法で、例えば静止画を動いているように見せることが可能なわけですが、
逆にこれで動いているものを見ると、途中経過なしで飛び飛びに動きを見せられるので、
めちゃめちゃ混乱しました。
あれ、もっと長時間見せられたら頭がおかしくなりそう…。
で、思ったのは、あの中で踊るって言うのはどういう感覚になるんでしょうねえ。想像がつかない。

さて、公演自体は1時間弱というところなのですが、
(ただし、見ているときには時間感覚がほとんど失われている)
そのあとに30分ほどアフタートークがあり、これがまた面白かったです。

まず面白かったのは、今回の振付で試そうとしたことの一つに、
「とにかくさまざまなフォルムをたくさん設定して、例えばその中から5つを取り出し、
それぞれのフォルムに移行させていく」という手法を使ってみた、という話でした。
つまり、そうすることで、これまでは使わなかったような体の動きなどが現れてくる、
といったことがあるんだそうです。なるほどなあ。

それから、「徹底して共通したことをそれぞれが行うことで、
逆にそれぞれの個性や歴史が浮かび上がる」という話。これもなるほどでした。
的を射た感想かわかりませんが、それを聞いたときに思い浮かんだのは、
例えば俳句や短歌といったような、定型性・規範性の強い文芸でした。
あれも、きっちりと決められた枠があるわけですけど、
その枠組みがあることで逆に読み手の個性が浮き彫りにされるわけですよね。
別に文芸に限らず、歌舞伎でも能でもバレエでも古典音楽でも、
定型性の強い表現様式のものはなんでもそうなのかなと思ってみたり。

あと、「今回の振付には性の壁を越えようとする意図があったのか?」という会場からの質問に対し、
「そもそも肉体に対してある動作を要求する時に、それが男性か女性かということは気にしていない。」
という答えが、ある意味当たり前のことなんですけど、なかなか面白かったです。
(相当端折って書いているので、双方のニュアンスがかなりこぼれ落ちてる点についてはご容赦の程を)

最後に、これは本来最初に書くべきだったのかもしれませんが、DANCE BOXという会場について。
もともと公演の定員がたったの先着100名(!)で、どんなんやねんと思ってたんですが、
実際に初めて行ってみてもっとビックリしました。
大きさは間口8m×奥行き6.3m×天井高3.77mだそうで、
見た目のイメージとしては、学祭とかで演劇部が公演やってるくらいの感じ。
(あくまで大きさの話であり、設備はもちろんちゃんとしてます)
初演はNoism06の本拠地であるりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館の練習用スタジオだったのですが、
ここはそのスタジオの1/4ほどの大きさしかなかったので、色々と変更があったらしく、
事実上「DANCE BOX版の初演」だったそうです。

客席は最前列はかぶりつき…というか、舞台の床の延長上そのまんま。
前2列は床の上に座布団敷きです。
私は2列目だったのですが(全席自由)、体育座りではお尻が痛かったので、
正座して見てました。こんなことは初めてです(笑)。
他にも、土足禁止で靴を脱いで会場に入ったりと、なかなか不思議な会場でした。
面白かったですけどね。踊りはめちゃ間近で見られるし。
DANCE BOXはフェスティバルゲートの中にあって、フェスゲに行くのも初めてだったのですが、
うわさに聞いていた通り、フェスゲは寂れて閑散としていました(苦笑)。あれはヒドイ。

というわけで、機会があればぜひまた見てみたいですね。