ノーベル賞なんて取れなくても。

なんとなく、ヘコんでいる時は、むしょうに村上春樹の本が読みたくなります。
実のところ、ヘコんでいるから読みたくなるのか、読むからヘコむのか、
順序は良くわからないのですが(苦笑)。
というわけで、ここ数日で、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と、
海辺のカフカ』を読み直しました。

いつだって間違いなく、読んだ後の気分というのは、読む前以上に陰鬱です。
なんてマゾヒスティックな読書体験なのでしょう(笑)。
そのくせ、「それでもまあ、これからも自分なりにやっていこうかなあ」という気分になります。
主人公はどこかしら冷めていて、自分が望んだ結果ではない状況に巻き込まれてしまって、
そしてしばしば物語の結末はアンハッピーだったりするわけですけど、
それでもどこか救いがあるというか、
たどり着くべきところにたどり着いたという不思議な安心感があるからでしょうか。

自分個人の精神作用だけに関して言えば、きっとヘコむだけヘコんだところで、
精神的な復元力が働くからなのかなあと思いますが。
同じような働きを中島みゆきの歌がすることがありますが、
そういえば先週末に「パイレーツ・オブ~」のDVDを借りてきた時に、
一緒に中島みゆきのCDも借りてきたんだっけ。
きっと無意識下では、あの時からそういう気分だったんですね。やれやれ(苦笑)。

村上さんは、今回のノーベル文学賞は外れてしまったようですが、
どうせまあ遅いか早いかだけの違いで、数年先には間違いなく受賞されるでしょう。
そして、彼の作品の価値は、そんな賞とは関わりなくそこにすでにあるわけで。
どっちかというと、受賞して大ブームとかにならなくて、個人的にはホッとしたような気分です。
なんとなくご本人もそんなタイプのような気がしますしね。