田中芳樹『水妖日にご用心』。

イメージ 1

「惰性で買い続けているものランキング」を個人的に作ったらNO.1に輝くんじゃないかと思う、
田中芳樹薬師寺涼子の怪奇事件簿』シリーズの最新作。

このシリーズ、登場当初は無茶なキャラ設定が新鮮だったんですが、
さすがに8作も出ると食傷気味です。
なんつーか、敵キャラは基本的に「固有名詞が変わるだけ」みたいなもんだし、
楽しみどころとしては「シチュ萌え」だけといっても過言ではないから…。
まあ、美女キャラヒロインものなんだから(変身が付かない分コスプレが入る。今回は水着)、
それが正しい楽しみ方なのだといわれればそうなんでしょうが。

「権力をカサに私利追求を計り、ついでに怪物を倒す」なんていうのが成立するのも、
主人公が美女であり、かつその被害をこうむるのはつねに強者だから、ではあります。
だもんで、作品としては毒にも薬にもならないお話なんですが、
読者にとって最大のデメリットは、このシリーズが続く限り、
もはや『創竜伝』の続刊は期待できないであろう、という点にあろうかと。
権力者をとことん茶化すという遊びをするのに、
創竜伝』だと全体のストーリー展開の中で折り合いを付けないといけないのですが、
『ドラよけお涼』の方だと一巻完結だし、主人公がバックにしているものも現実の権力なので、
そこんとこをまったく気にせず楽にやれてしまうわけなので。
「楽ってコワいですね」ぐらいのイヤミは作者に言ってみたくなる気持ちもちょっと…(苦笑)。

読者カードに「アル戦と創竜伝もよろしくお願いします」
書いて送るというのが、この本の一番有効な使い道かも(笑)。