東京バレエ団「ジゼル」。

東京バレエ団「ジゼル」@ゆうぽうとホール 9月13日

ジゼル:吉岡美佳
アルブレヒト:ウラジーミル・マラーホフ
ヒラリオン:後藤晴雄
バチルド姫:川島麻実子
公爵:木村和夫
ウィルフリード:野辺誠治
ジゼルの母:橘静子
ベザントの踊り(パ・ド・ユイット):小出領子-長瀬直義、高村順子-中島周、
佐伯知香-松下裕次、吉川留衣-平野玲
ジゼルの友人(パ・ド・シス):西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子、渡辺理恵
ミルタ:井脇幸江
ドゥ・ウィリ:奈良春夏、田中結子

指揮:アレクサンドル・ソトニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

このところコンテンポラリーづいてた(というか、「ベジャール三昧」が正解?)ので、
久しぶりのクラシックの演目鑑賞。

マラーホフの「純愛アルプレヒト」は、二年前の世界バレエフェス全幕でも見ています。
いけ好かない男子」という印象自体は変わりませんが、
「ああもうマラーホフってば美しいっ!!」的な印象が加わりました(笑)。
もうねー、最後の最後、白百合の花を取り落としながら倒れこむところなんて…
ああもうマラーホフってば美しいっ!!(笑)
ケガはすっかり良くなったみたいで何よりです。

吉岡さんのジゼルは、「はかない」とか「可憐」というよりは、わりと元気で明るい村娘の印象。
でも、アルプレヒトと楽しく遊んでいても、ところどころ胸を押さえたりと、
立てるべきフラグはきっちり立っていきます(笑)。
個人的に面白かったのは、アルプレヒトの身分が露見してからのジゼル狂乱の場面。
吉岡さんの狂乱の様子が、すごく「古典的ジャパニーズ・ホラー」な風情だったんですね。
単なる「精神的ショック」ではなくて、何か「この世ならぬもの」になっているような感じ。
能とかの「物狂い」に通じるところがある。

「いったいどんなになるんだろう」と思っていた後藤ヒラリオンは、
「クラスにスーパー転校生が来たせいで主役の座を奪われた男子」という感じでした(笑)。
なーんか純朴とかいう感じがなくて、普通にモテそう(かつ遊んでそう)なんですよね~。
たとえば、ジゼルの家に獲物を掛けて立ち去る冒頭のシーンで、
木村ヒラリオンの投げキッスは見ててどこか微笑ましいんですけど、
後藤さんの場合は、なんか妙にキザで生々しい(笑)。
2幕でウィリたちに責められている場面でやけにへっぴり腰なのも、
きっと何か身に覚えがあったに違いありません。
なんていうか、ジゼルに対する愛情ももちろん感じられますけど、
それ以上に「アルプレヒトに対する嫉妬」が感じられて、それはそれで面白かったです。

井脇さんのミルタさまは、ほんとはまり役ですよね~。
ヒラリオンの命乞いを冷淡に拒絶するところなんか、実に決まっています。
「女子高の風紀委員長」という感じです。

ベザントの踊りは、みどり組の古川さん&大嶋さんが退団してしまって、
長瀬くん&松下くんの若手コンビに。
この構成だと、現時点での力関係のバランスは、
明らかに中島さん&平野さんの赤組の方に傾いてしまいますよね~。
今後のみどり組の成長に期待です。
女性のみなさまの方は安定してましたね。
特に、この日は小出さんも入ってる日だったし(今回の公演で唯一)。
小出さんのジゼルデビューも見たかったんだけどなあ…。
出演日程が木曜日と火曜日ではさすがに無理っす。


この演目、生で見たのは2回目ですけど、
今回見て、上演頻度が高い理由がわかるなあと思いました。
ストーリーが実にシンプルでわかりやすいし、
それだけに、演じ方によって見え方も全然違ってきますよね。
で、セットは2つで済むし、衣装もそんなに凝ってないし…と、
財政的にも非常にお手ごろな演目です(笑 でもこれ大事)。
また機会があれば、別のキャストを見に行きたいです。