ベジャールの「くるみ割り人形」@東京バレエ団。


―第1幕―
ビム:氷室友
母:高木綾
フェリックス:小笠原亮
M...(マリウス・プティパメフィスト、M...):中島周
妹のクロード、プチ・ファウスト:佐伯知香
光の天使:柄本武尊、平野玲
妖精:奈良春夏、田中結子
マジック・キューピー:飯田宗孝

―第2幕―
スペイン 闘牛士:高橋竜太、松下裕次、宮本祐宜
中国 バトン:高村順子
アラブ:西村真由美-中島周
ソ連:小出領子-横内国弘
フェリックスと仲間たち:小笠原亮
パリ:井脇幸江-木村和夫
グラン・パ・ド・ドゥ:上野水香-後藤晴雄

ビデオ編集協力:GPA

…というキャストだったんですが、フェリックス役の小笠原さんが1幕途中で足の故障のため降板し、
松下裕次さんが途中から代役を務めました。代役も何も、2日前のファーストキャストですが。
小笠原さんは折角の初役だったのに残念でした。大事無いと良いのですが。
多分この影響だと思うんですが、スペインの闘牛士が1人欠けて2人になってました。
女の子3人のところに闘牛士2人というのは、やっぱりなんかちょっと変な感じ。

さて、本公演はモーリス・ベジャール追悼特別公演シリーズのⅢに当たります。
当初はパスしようかとも思ってたんですが、うまい具合に研究と折り合いがついたのでGO。
でも、見に行って本当によかったです!

作品は一言で言えば「子供の夢ベジャールの夢」といった感じ。
プティパ版をはじめとする古典の場合も、少女クララの夢のお話なので、
実に正しい翻案のあり方といえましょう。
舞台もクリスマスで、プレゼントの人形(この場合は像ですが)が重要な役割を果たすのもいっしょ。

ベジャール版での主題は、幼い日に亡くした母への憧憬と、バレエへの想い。
(ストーリーその他についてはコチラをどうぞ)
ベジャールへの思い入れがあるかないかで、見る人によって評価は真っ二つでしょうね。
ベジャールファンの僕にとっては、見ていてたまらない作品でした。
ベジャールがスクリーンに映し出され、ベジャールの声でナレーションが入り…。
今は幽明境を異にする人と、残された作品を通じてこういう形で思いを共有できるというのは、
実に素敵なことだと思います。

以下、個々のキャストで印象に残ったところを少しずつ。
Mの中島さんは、醸し出す雰囲気にますます幅が出てきましたね~。
Mの役は、M・プティパとしての先生というか大人というか…な雰囲気とか、
メフィストとしてのうさん臭さ(笑)とか、きっちり使いこなせていて素敵でした。
(金曜日の首藤さんと両方見たかったけど、まあそういうわけにもねー)

終盤、プティパ版のグラン・パ・ド・ドゥをそのまま演じるところで、
「原作者の意向によりグラン・パ・ド・ドゥはプティパ版をそのまま上演します」
みたいな内容の前口上が入るのですが、
黒タキシード(…だったっけ?)のMがマイクを持って話し始めた瞬間、客席からクスクス笑い声が。
なんだかよくわかんないんですけど、でも確かになんか可笑しいんですよね、あれ。

妹役の佐伯さんは、緑色のロリロリ衣装が超絶似合ってました(笑)。あれは反則だよな~。
東バの女性であの手の衣装が一番似合うんじゃないかとかねてから思っている西村さんは、
アラブで非常にカッコいいところが見られて満足。

が、個人的に女性で一番印象に残ったのは、パリの井脇さん。
この人ほんと「美人」だわ…。ああいう大人な衣装の似合うこと似合うこと。
木村さんとのカップルは、「女性の方が男性をイジめて遊んでそう」とか思ってしまいましたが。

上野さん&後藤さんのグラン・パ・ド・ドゥは、
上野さんのダイナミックさが存分に楽しめて非常に良かったです。
やっぱ身体能力高いよねー。今回は文句なくスゴいなーと思いました。

衣装である意味度肝を抜かれたのは、光の天使。
なんなんすか、あの全身スパンコールの妖怪…(笑)。
中の人が誰であっても、個体識別が不能のような気がするんですが。
(でも、初日の高岸さんで見てみたかった)
妖精は妖精で、ミラーボールみたいにキンキラキンのレオタード姿です。
確かに、「3昔ほど前のショーの衣装」というのは、ああいうイメージでしょうかねえ。

それにしても、マジックキューピーの飯田さんは、実に楽しそうに手品を披露していました(笑)。
実はあのマジック、演出はプリンセス天功だったんですね。