フィギュアスケート全日本選手権・女子フリー。

女子最終結
1.浅田真央 2 2 182.45
2.村主章枝 5 1 178.59
3.安藤美姫 3 4 174.09
4.鈴木明子 6 3 173.98
5.中野友加里1 6 172.60
6.武田奈也 4 5 164.73
すごい試合になりました…。

今日の殊勲賞はなんと言っても鈴木さんでしょう。
最終組の第一滑走の彼女が素晴らしい演技を見せたことで、一気に会場の空気に火が付きましたし、
あとの選手にとってのハードルが跳ね上がりました。
出せるものは技も心も本当にすべて出し切った、という演技で、何かもう理屈抜きにすごかったです。
テレビで見ていてもジーンと胸が熱くなりました。
もしも会場にいたら、本当に見てて泣いてしまったんじゃないかと思います。

こういう展開の時は、つられて素晴らしい演技をする人と、プレッシャーに負けて沈んでしまう人と
二極分化しがちなのですが。
次の村主さんがまたすごかった…。
彼女の完璧なフリーを久々に見た気がします。
限界説なんか信じなくてほんとに良かった(笑)。
でもほんと、僕はファンでしたから復活を望んでいましたけれど、
それでも昨シーズンの演技を見ていると、やっぱりもう無理なのかなあって思ってしまいそうでしたから。
この大事な大会で、これだけの演技をやってのけるなんて、なんという不屈の人なんでしょう。
フリーだけなら1位の演技ですよ。
これを世界の舞台でもまた見たいです。期待しちゃうよなあ。

中野さんは、逆に呑まれてしまったのかなあ。
大崩れこそしませんでしたが、3F・3Lzがことごとく回転不足判定では…。
3Tと3Loしか跳んでない武田さんとTESで7点も差が付いてしまったのではさすがにツラい。
冒頭の3Aを2Aに変える安全策でこの結果ですが、
多分3Aで行っていたらもっとひどくなっていたと思うので、
これはもう消極的だったからどうこうとかいう問題ではないでしょう。
今回は終わってしまったこと、幸いオリンピックまでまだ1年あります。
行けなかったトリノの悔しい思いを晴らすために、来年に向けて巻き返して欲しいです。

武田さんは、現状でやれるだけのことはやった結果ですよね、良くも悪くも。
ジャンプが3Tと3Loしかない現状では、これが精一杯でしょう。
彼女の演技は大好きなのですが、競技としてやっていくためにはここを打開しないとねー。

安藤さんは、「悪いなりにまとめる」ことができる底力が付いたんだなあ、というのが感想です。
ウォーミングアップでのアクシデントがあり、転倒が一回あり、
それでも他の部分でカバーして、SPのリードで辛くも逃げ切って3位入賞。
インタビューで、一瞬泣き崩れそうになるのをこらえて笑って見せたこと、
「もし世界選手権に行かせていただけるなら」と抱負を語ってみせたことに、
思わずジーンとなってしまいました。本当に素晴らしいアスリートです。
点数的には、回転不足判定の+2Loをちゃんと跳びきるだけでかなり上がってくるはずなので、
そんなに心配はしていません。
今年の世選はぜひ万全の体調で出て欲しいです。

…てゆーか、4位の鈴木さんとの差はわずかに0.11なんですよね…。
本音を言えば、鈴木さんには世界選手権に行かせてあげたかった!
でも、競技だから、順位が付いてしまうものだから、仕方ないよね…。

さて、今回印象と点数との乖離がもっとも激しかったのが、浅田さんの演技です。
TES54.67は全体で3位で、1位の村主さんとは8点差、2位の鈴木さんとは5点弱差、
(もちろん村主さん・鈴木さんの演技の素晴らしさを表す数字でもあります)
4位の武田さんとの差はわずか0.08です。
PCSでかなり盛り返していますが、それでもフリーは全体2位。
これはひとえに、3Aが2回とも回数不足と判定されたから。
このプログラム構成がいかにハイリスクな選択かということが、まざまざと浮き彫りになりました。
難しいもんですねえ…見ていて実に素晴らしい出来だと思っていたんですが。
世界選手権でもこれで行くのか、ちょっと考えどころなのかも。
それにしても、今年の「仮面舞踏会」は本当に素晴らしいプログラムだと思います。
振付も音楽も衣装も。
こんなにいいのを今年使ってもったいない、来年の五輪本番で使えばいいのに…
とか言うのは、きっと貧乏人の発想なんだろうな~(笑)。
来年はきっともっといいプログラムが出来ますよね。楽しみにしてます。


それにしても、トリノ五輪前の2005年の全日本をほうふつとさせる大会でした。
あの時もすごかったけど、今日もすごい大会でしたね。
会場で見ていた人がうらやましいです。