村上春樹『1Q84 Book3』雑感。

「レビュー」というよりは「雑感」。

Book1・2の反響に比べて、Book3の反響は恐ろしく静かです。
まあそりゃそうだよねーと思いますが。
だいたい1・2にしたって、そこまで社会現象になるような本かと言われるとちょっと…?
ま、「新作が出るだけで社会現象になるだけの作家」ということなんでしょうけど。

のだめカンタービレ』の最終巻が出たときに、
ラストに関して「それだけ?」という反応を聞いてもあまり賛成できなかったのですが、
今回の同じ反応に関しては「その気持ちは良くわかる」と言いましょう(笑)。
やっぱりこれで完結ではないんですかねー。
「それって『1Q85』が出るってことか?」って考えたのですが、
ネットで「1-3月で『Book0』にすれば良い」という意見を読んで、おおその手があったか!と。
なんだかそれって『スター・ウォーズ』みたいですけど(笑)。

今回村上作品では初めて、作中における「世代の再生産」が行われたように思います。
「親-子を子の視点から描く」というのは『海辺のカフカ』でやってますけど、
「子が親になる」というのは今回が初めてですよね。
それが「セックスによらない妊娠による」というのが、いかにも村上作品らしいですが(笑)。
(基本的に、村上作品におけるセックスはコミュニケーション手段という記号ですから)
これをテーマにすると、必然的に女性が主人公になるのだなあと、腑に落ちました。
女性が「母親」の面と向き合うのは避けがたい必然ですが、
男性は基本的に「ある日突然父親になる」生き物ですから。
こういうテーマは、それ相応の年にならないと書き手も書けないし受け手も読みこなせないと思うのですが、
そういう意味では、今回、書き手も受け手も相応の年になったということなのかなーと感じました。

今回はあまりまとまったレビューはかけないかなあと思うので、とりとめのない雑感でした。