東京バレエ団『ドン・キホーテ』。


振付:M.プティパ A.ゴールスキー V.ワシリーエフ
音楽:L.ミンスク
指揮:ヴァレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

キトリ/ドゥルシネア姫:小出領子
バジル:ダニール・シムキン
ドン・キホーテ:森川茉央
サンチョ・パンサ:高橋竜
ガマーシュ:平野玲
メルセデス:井脇幸江
エスパーダ:後藤晴雄
ロレンツォ:永田雄大

―第1幕―
2人のキトリの友人:西村真由美‐佐伯知香
闘牛士:松下裕次、松下裕次、長瀬直義、宮本祐宜、梅澤紘貴、柄本弾、安田峻介、柄本武尊、岡崎隼也
若いジプシーの娘:高木綾
ドリアードの女王:奈良春夏
3人のドリアード:吉川留衣、渡辺理恵、川島麻実子
4人のドリアード:森志織、村上美香、岸本夏未、阪井麻美
キューピッド:河合眞里

―第2幕―
ヴァリエーション1:佐伯知香
ヴァリエーション2:乾友子

協力:東京バレエ学校



しばらく遊びにも行けないので、夏の楽しい思い出を日記帳にでもつけようかと(笑)。
というわけで、先月見た東バの『ドンキ』の感想です。いまさらですけどね。
2002年の再演の時に見ているので(実はこのときがバレエの全幕物初体験)、
8年ぶりということになります。
前からずっと見たい演目だったんですが、どうもタイミングが合いませんで。

東バのというか、一番のお目当てはシムキン君だったわけですが。
いやー、すごかったですよ~。
なんかもう「ええい、(ロシア)連邦の白いDSは化物か!!」って感じですよ。
飛ばしてましたねえ。跳ぶは跳ねるは回るは。「ちょ、何でそこから跳べるの!?」とか。
若いよなー。お尻がもうプリップリでした(笑)。
明るいしかわいいし華もあるしお芝居もできるし。演目的にも役柄的にもはまりますよね。
狂言自殺(かみそりで自分を「刺して」は死ねんだろー)の「胸タッチ」のところとか
素で楽しんでそうなのは気のせいでしょうか。

ただ、今後気になるのは、やっぱり男性ダンサーとしては「たっぱ」がないことでしょうか。
役柄とか相方とか、けっこう制約があると思うんですよね。
(その点、小出さんとは非常にいい取り合わせだったと思われ)
なんかこう、「超絶キャラクターダンス路線」という可能性も高いような気がします。
まあそれはそれで楽しみなんですけど。

小出さんは産休明けからいよいよ全幕主役復帰でした。
無事成功に終わってよかったよかった…なんですけど、無理してないか心配だな~。
なんかこう、「見た目には表れるけど、踊りには表れない」って、かえって心配になりませんか?
旦那さんといっしょに無理しすぎず頑張って下さい。

で、旦那さん(後藤さん)は、闘牛士の赤いヒラヒラを持った踊りはちょっとハラハラしましたけど
まあそれは織り込み済みで(笑)、よろしかったのではなかろうかと。
公式ブログの終演後の写真の弾け振りを見ると、ご本人も満足の出来だったんじゃないですかね。
その前週の「ギリシャの踊り」での「どや顔」といい(←これを見て思わず笑ってしまった…)、
こういうのが顔に出ますよねー後藤さん。

どうでもいい話ですが、エスパーダが居酒屋で踊るところの、
両手を「牛の角」に見立てた振付が、カンフーみたいに見えるのって僕だけなんでしょうか。
「アチョー!」ってアテレコしたくなるんですけど。

んで、メルセデスが井脇さん。
いいよなー、井脇さん。素敵だ。
最近思うのですが、井脇さんにぴったり来る一言は「余人をもって替えがたい」であるなあ、と。
「これはやっぱり井脇さんじゃなくっちゃね!」っていう役があるんですよね。
『ジゼル』のミルタとか。
「ナンバーワンでないオンリーワン」と言ってもいいかと。
こういう人は主役とは別の意味で得がたい。
個人的にこういう路線を追求してほしいなあと思うのは西村さんかな。

そういう点で、今回やっぱすごいよなあと思ったのは、
サンチョ・パンサの高橋さんと、ガマーシュの平野さんでした。
どちらも原型をまったくとどめていない扮装で登場しますけどね(笑)。
なんていうか、「小芝居一つにまで命懸けてます!」っていう感じ。
高橋さんはフィナーレのジャンプに命懸けてるのはひしひし伝わってきます(笑)。
平野さんは、今回といい、5月の『オネーギン』のグレーミンといい、
前週の『ボレロ』のリズムといい、なんか進境著しいですね。すごいです。
前から期待はしてましたけど、これから楽しみだなー。
ぜひ男性のみなさんを引っ張って行っていただきたいです。
ちょっとねー、闘牛士sのみなさまはもう一つでした。
こういう演目なんだから、もっと元気に行こうよ元気に!

演目的には、「ああこれはスペイン的『吉本新喜劇』なのだなあ」と。
ロレンツォみたいな「困ったおっちゃん」が騒動を引き起こし、
ドン・キホーテみたいな「ずれたおっちゃん」が騒動に輪をかける、と(笑)。
んで、すったもんだあり、笑いあり、最後にちょっといい話でハッピーエンド。
いつもいつもまじめな話ばっかりだと肩が凝りますからね~。
こういう楽しくて気楽に見られる演目もいいもんです。