大阪市立美術館『ボストン美術館展 日本美術の至宝』。

昨年春から東京→九州→名古屋と巡回していた『ボストン美術館展 日本美術の至宝』ですが、
4月からついに大阪展が始まりました。
というわけで、GWの谷間の平日を利用して見てきました。

チラシなどを見るに、目玉は曽我蕭白のコレクションなのかなあと思うのですが、
個人的なお目当ては、やはり『吉備大臣入唐絵巻』『平治物語絵巻』の全巻公開でした。
いやー、どちらも本当に素晴らしかったです。眼福。

『吉備大臣入唐絵巻』は初めて見ましたが、面白い話ですよね。
何と言っても、碁石を飲み込むというイカサマで囲碁に勝った後、身体検査をされている場面が秀逸です。
ほかにも、外交使節をなんでいきなり悪鬼に食わせようとせにゃならんのかとか、
こんなバランス悪そうな高楼が倒れずに立ってられるのかとか、いろいろつっこみたくなります。
そもそも、奈良時代の官人の吉備真備が束帯姿だとか。
そういうもろもろ含めて、いろいろ楽しめる作品でした。
そうそう、玄宗皇帝が描かれているのもポイント高いです。

平治物語絵巻』は、10年ほど前に名古屋ボストン美術館で見たことがあったのですが、
改めて見て、本当にすごい作品だなあと再認識しました。
井戸に折り重なってる屍体も凄惨ですが、組み伏せた敵の首をまさに刀で掻き切ろうとしている描写とか、
凄まじい生々しさです。
原寸大のレプリカが販売されていたのですが、いくらなんでも13万9千円では手が出ませんでした(苦笑)。
欲しかったのはやまやまなんですけどねー。

他にも、古代・中世の宗教画など、室町期の水墨画、近世の屏風絵など、素晴らしい作品が目白押しでした。
個人的に面白かったのは、新羅明神と教待和尚とを脇侍とした弥勒如来二侍者像と、地獄草子の断簡です。
『地獄草子断簡』は一銅釜地獄を描いたものなのですが、なんだか妙にユーモラスで、
絵本の名作に『じごくのそうべえ』というのがありますが、元ネタは『地獄草子』なのかなあと思ったり。
(もちろん、直接のモチーフは落語の『地獄八景亡者戯』なので、そのさらに前のルーツ?)

というわけで、未見の方はぜひぜひ。
会期は6月16日(日)までです。