「浦沢直樹の漫勉」シーズン1。

昨年のシーズン0を見て、「これはすごい番組だ!」と思ったこの企画。
撮り溜めておいたシーズン1をようやく見たんですが、さらにすごいことになってました。

まずもって、東村アキコ藤田和日郎浅野いにおさいとう・たかをというラインナップがすごい。
シーズン0のかわぐちかいじ山下和美だってすごいんですけどね。
個人的には、やっぱり子供のころから読んでいた藤田和日郎さいとう・たかをがうれしかったです。
ゴルゴ13のあのまゆ毛が、ぶっといマジックで描かれていたのは衝撃でした(笑)。

 東村アキコの回は、やっぱり筆の速さと直観力ですよね。まさに天才。
浦沢直樹が「マンガを描こうと思っている人が励まされてるんじゃないか」みたいなことを言っていましたが、
むしろ心が折れてるんじゃないかな(苦笑)。あれはまねできないと思いますよ~。
そういう意味では、藤田和日郎の回の修正ペンの使い方とかの方が面白いんじゃないですかね。
自分が描かない(描けない)人なので、何とも言えませんが。
技法的な面では、浅野いにおのデジタルとアナログの融合の話がとても面白かったです。

あと、『マンガ夜話』の終了以来、ディープなマンガ評論の番組がなくなって久しいので、
浦沢直樹と交わされる作品論・作家論は、とても面白くてうれしかったです。
この点で見ていて思ったのは、ゴルゴ13のキャラクターには、
さいとう・たかをのビジネスに対する考え方が色濃く反映されているのだなあ、ということです。
プロダクション制というのは各方面のプロフェッショナルによる分業制なわけですが、
ゴルゴ13の依頼・情報収集・武器調達などに関するネットワーク構築は、まさにこれですよね。
あと、お金を取って客に見せる事に対する責任、締め切りを守ることに対する責任について、
いろいろと言及されていましたし、実際、連載作品の最後には、必ず脚本等の名前がクレジットされていますが、
こういう責任や権利の問題は、ゴルゴ13におけるビジネスのルールに他なりません。
一言でまとめると「仕事に対するプロ意識」ということになると思うのですが、
結局のところ、ゴルゴ13において貫かれている「時代が移っても変わらないもの」の一つは、
これなのではないかと思います。

 来年の3月にはシーズン2があるようで、今から楽しみです。
萩尾望都とかよしながふみとかやってくんないかな~。