川原泉『ブレーメンⅡ』

旅行中に読む本でも買おうかと思いながら本屋に行ったら、
どういう訳か買ったのは川原泉ブレーメン供戮裡魁腺鬼でした。
何だかな…ま、いいか。旅行先は鹿児島だし(川原さんは鹿児島出身)。

えーっと、基本的な登場人物は、『空の食欲魔人』の中の
「アンドロイドはミスティーブルーの夢を見るか?」に登場した
キラ航海士(船長に昇格)&ナッシュ社長&コンピューターのアンブレラですね。
で、人手不足解消のために、知性を持った動物たち「ブレーメン」が社会で働くようになり、
キラ船長の宇宙船ブレーメン兇貿杪阿気譴董弔箸い設定が加わっている、と。

キラ船長は、川原ワールドの中では「しっかり者系キャラ」に分類されるでしょう。
「美貌の果実」の菜苗さんとかと同系統です。
(ちなみに、もう川原ワールドの一本の柱は「おっとり系キャラ」で、多分こっちのが多い)
が、キラ(とナッシュ)にも共通する川原ワールドの重要なファクターは、
やはり「おおらかさ」でしょう。
「寛容さ」というよりは、やっぱり「おおらかさ」と言った方がぴったり来る気がしますね。
くだらないこと・つまらないことに対して、ごくごく自然に「それがどうかしたの?」と言えてしまう。

それが端的に示されるのが、惑星フロリナにブレーメン兇寄港したときのエピソード。
この観光惑星で乗組員は休暇を取ろうとするのですが、
動物に対する偏見のためにあちこちで入店拒否に遭います。
で、動物たち曰く、「私たち、こーゆーの慣れてますから…」
「でも、ブレーメン兇両菫醗?砲覆辰討らはこーゆー事無かったからうっかりしてました」
ここで、ブレーメン兇箸いΡ宙船の設定自体が、
川原作品の世界観そのものであることがあらためて示されるわけです(ほんとかな)。

でも、こういうおおらかさは本当に好きですね。
多分それにはまったからこそ、川原作品はほぼ全て読んできたわけで。
でも、さっき書いた『小早川伸木の恋』の方の感想と合わせると、
単に自分に甘いだけちゃうんか、という気もしますね(苦笑)。
まあ、どちらかというと自己肯定的なタイプであることは否定しませんが。

もちろん、エピソード的にもキャラクター的にも面白い作品だと思います。
個人的には、シベリアンタイガーのシャキール君が良いですね。
てゆうか、やけにリアルなトラの絵柄を使って、よく心理描写ができますね…漫画文法って便利だな。
麻薬の原料になるのでご禁制のドリアードの木を船内で見つけたときのボーゼンとした表情が笑えます。

そういえば、今って川原さん、なんか連載してるのかな??