古代学研究所の危機。

さて、このニュースには触れておかねばなるまいて。
掲示板で情報が出ていたので、業界の方はもうご存知だと思いますが…

京の古代学研が存続の危機 資金難で3月末に活動停止も(京都新聞
 京の考古学研究をリードしてきた古代学研究所(京都市中京区、角田文衛所長)が、資金難から3月末にも学術研究を停止する可能性があることが、19日までに分かった。研究所を運営する財団法人古代学協会が停止の方針を固め、全職員から希望退職を募っているが、研究者らは「何とか研究所を残してほしい」と存続を訴えている。
 同協会は1951年、角田所長をはじめ考古学や歴史学の第一線の研究者が結成。行政による組織的な発掘に先駆けて、平安宮の大極殿跡や朝堂院跡など多くの発掘を手がけた。88年には研究部門を改組し、古代学研究所を創設した。
 関係者によると、協会の運営は賛助会員の企業からの寄付金でまかなわれているが、バブル後の不況で休会や退会が相次ぎ、会員数が激減。寄付金は最盛期の4分の1程度にまで落ち込んでいるという。
 同協会は昨年9月末、研究者を含む職員7人全員に、「研究所の事業・活動について3月末をもって停止せざるを得ない事態」と文書で通告。希望退職を募っている。また同協会が発行している学術誌「古代文化」も月刊での発行が困難になっているという。
 西井芳子常務理事は「文化に資金を出すという企業マインドが変わってしまった。研究所の存続へ向け最大限の努力をしているが、展望は厳しい」とする。一方、研究者らは「研究所がなくなれば、京都の歴史研究を支えてきた角田史学を継承する場もなくなってしまう。再建の道を探ってほしい」と話している。
 ■古代学協会 角田文衛氏や故江上波夫氏らが大阪で結成。67年には京都文化博物館の前身・平安博物館を開設した。平安京などの発掘調査を進める一方、仁和寺所蔵文書の文献研究やエジプト・アコリス遺跡やイタリア・ポンペイ遺跡などの発掘調査も手がけた。平安建都1200年に合わせ「平安京提要」(角川書店刊)なども編集した。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006012000034&genre=M1&area=K10

業界の人間にとっては、ある程度予想のついていた事態ではありましたが、
(だって12月号から『古代文化』の発行止まってるし)
「いつかは沈む船」と、「現に沈みつつある船」ではえらい差があるわけで。

うーん、大学とか国公立博物館(←厳密には国立博物館はもう存在しないけど)でも厳しいこのご時勢、
やっぱりしっかりした後援がついてない研究機関が存続していくのは難しいのかなあ。
創立者の個性、京都という所在地、洋の東西を問わず「古代」を対象とする独自性のある雑誌など、
存在意義は十二分にある研究機関だと思うのですが。
京都の企業で、「京都の歴史に根ざした文化活動をやってやろうじゃないか!」
というとこはないんですかね。
博物館と違って研究所である、というところが、また微妙に難しいのかもしれませんね。
活動媒体が活字か展示かというのは結構大きな差異だと思うので。
(企業の後援する博物館だと、京都じゃ住友グループ泉屋博古館なんかがいいです。
 頭がくらくらするくらいたくさんの青銅器が見られます。
 あそこもそんなに客が入ってる感じじゃないけど…)

さて、みなさまご記憶かどうかわかりませんが、
8月に私が論文を投稿したのは「青い表紙のあの雑誌」だったのですが…
え~、まあ、書いちゃってもいいか。
「青い表紙のあの雑誌」というのは、ズバリ『古代文化』です。
…まあ、世の中色々ありますよね(苦笑)。
とりあえず審査は通ってたので、今のうちに掲載証明だけ出してもらっといた方がいいかな…
これこそ空手形ってやつの実例かもしれませんが(苦笑)。
とりあえず、それでも5月の学振の書類では役に立つので。