読書バトン(その2)。
前回に引き続き、「読書バトン」です。
塩野七生・村上春樹・司馬遼太郎は、いずれも
「高校時代から読んでいたけど、大学生になって本格的にはまった」作家。
塩野七生については、以前にも何度か書きました。
(今年の『ローマ人の物語』は「キリストの勝利」)
(塩野七生『ローマ世界の終焉―ローマ人の物語XV―』)
読み始めるきっかけになった作品は、実は『レパントの海戦』。
高校の世界史で(もっとも、高校で世界史の授業を受けたことはないのですが)
「授業で名前は聞いたけど中身はよく知らない」事件とかってありません?
レパントの海戦もそうした事件の一つだったんですが、
たまたま図書館で見つけて手に取ったのがこれだった、というわけ。
で、『コンスタンティノープルの陥落』・『ロードス島攻防記』と地中海三部作を読み、
『ローマ人の物語』を読み、『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』を読み…で今に至る。
小説は多分短編も含めて全部読んでるはずです。
塩野作品の魅力はもうだいたい以前に書きつくしましたが、
「個人を軸にして歴史を描写し、それを面白く読ませてしまうところ」に尽きると思います。
特に『ローマ人の物語』に関しては、それを「史料等を提示する」という歴史学の手法の枠内で話を進め、
それを一般読者相手に成功させている、という点が素晴らしい。
歴史学を志す人間として、また、物を書くことを志す人間として、
塩野さんはある意味で、私が一番影響を受けた人と言えるかもしれません。
「高校時代から読んでいたけど、大学生になって本格的にはまった」作家。
塩野七生については、以前にも何度か書きました。
(今年の『ローマ人の物語』は「キリストの勝利」)
(塩野七生『ローマ世界の終焉―ローマ人の物語XV―』)
読み始めるきっかけになった作品は、実は『レパントの海戦』。
高校の世界史で(もっとも、高校で世界史の授業を受けたことはないのですが)
「授業で名前は聞いたけど中身はよく知らない」事件とかってありません?
レパントの海戦もそうした事件の一つだったんですが、
たまたま図書館で見つけて手に取ったのがこれだった、というわけ。
で、『コンスタンティノープルの陥落』・『ロードス島攻防記』と地中海三部作を読み、
『ローマ人の物語』を読み、『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』を読み…で今に至る。
小説は多分短編も含めて全部読んでるはずです。
塩野作品の魅力はもうだいたい以前に書きつくしましたが、
「個人を軸にして歴史を描写し、それを面白く読ませてしまうところ」に尽きると思います。
特に『ローマ人の物語』に関しては、それを「史料等を提示する」という歴史学の手法の枠内で話を進め、
それを一般読者相手に成功させている、という点が素晴らしい。
歴史学を志す人間として、また、物を書くことを志す人間として、
塩野さんはある意味で、私が一番影響を受けた人と言えるかもしれません。
村上春樹は、高校生の時に『ノルウェイの森』だけ読んでました。
やはりなんといっても、この作品が自分にとっての村上作品の
読書体験の原点であり、全てと言えるような気がします。
何度読んでも、その時々の自分のありようによって、
ストーリーの見え方が全然違うんですよね。
大学生になってから、人に勧められて、他の作品も読みました。
以前にも書きましたけど、村上作品への入り方は、『ノルウェイの森』
→四部作(『風の歌を聴け』・『1973年のピンボール』・『羊をめぐる冒険』+『ダンス・ダンス・ダンス』)
→『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
というのが最適だと思います。どれも好きな作品です。
個人的にランキングすると
1『世界の終り~』 2『ノルウェイの森』 3『ダンス・ダンス・ダンス』
という感じ。
『世界の終り~』については、以前感想も書いています。
自分にとっての魅力は、「生と死のあいまいな関係」のあやういバランスの描き方、でしょうか。
あと、特に四部作の主人公はおおむね自分と同年代(20代半ば~30代前半)なんですが、
主人公の不完全燃焼感というか行き止まり感は、なんとなく共感できる気がします。
やはりなんといっても、この作品が自分にとっての村上作品の
読書体験の原点であり、全てと言えるような気がします。
何度読んでも、その時々の自分のありようによって、
ストーリーの見え方が全然違うんですよね。
大学生になってから、人に勧められて、他の作品も読みました。
以前にも書きましたけど、村上作品への入り方は、『ノルウェイの森』
→四部作(『風の歌を聴け』・『1973年のピンボール』・『羊をめぐる冒険』+『ダンス・ダンス・ダンス』)
→『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
というのが最適だと思います。どれも好きな作品です。
個人的にランキングすると
1『世界の終り~』 2『ノルウェイの森』 3『ダンス・ダンス・ダンス』
という感じ。
『世界の終り~』については、以前感想も書いています。
自分にとっての魅力は、「生と死のあいまいな関係」のあやういバランスの描き方、でしょうか。
あと、特に四部作の主人公はおおむね自分と同年代(20代半ば~30代前半)なんですが、
主人公の不完全燃焼感というか行き止まり感は、なんとなく共感できる気がします。
司馬遼太郎は、「小説家としての」という注釈付きかなー。
歴史思想っぽいことを書いてる時の司馬遼太郎は、いまいち受け付けない感じ。
基本的に司馬作品の面白さは、「魅力的な個人」に負うている部分が大きいと思うんですよね。
つまり、政治や社会はあまり書けなくて、でもむしろそれが面白い。
その意味では、一番好きな作品は?と言われると、やっぱ『燃えよ剣』になります。
あと、長編書いてても、「短編の集積」みたいな趣がありますよね。
カットを多用した映画のように、場面ごとの転換がすごく印象的。
短編集も好きなんですけど、そういう個々の場面の切り取り方がすごくうまいんですよね。
歴史思想っぽいことを書いてる時の司馬遼太郎は、いまいち受け付けない感じ。
基本的に司馬作品の面白さは、「魅力的な個人」に負うている部分が大きいと思うんですよね。
つまり、政治や社会はあまり書けなくて、でもむしろそれが面白い。
その意味では、一番好きな作品は?と言われると、やっぱ『燃えよ剣』になります。
あと、長編書いてても、「短編の集積」みたいな趣がありますよね。
カットを多用した映画のように、場面ごとの転換がすごく印象的。
短編集も好きなんですけど、そういう個々の場面の切り取り方がすごくうまいんですよね。
田中芳樹は、一時期「明けても暮れても『銀英伝』」状態でした(笑)。
でもほんと、何度読んでも面白いもの。OVAも全部見たし。
ちょうど10周年記念で徳間文庫版が刊行されていた時期で、
次巻の出るのが待ち遠しかったことと言ったら…。
そりゃあまあ、突っ込みどころだっていっぱいありますけど、
でも、あれだけの壮大な道具立ての中で、個々のキャラクターの魅力を存分に引き出し、
死ぬべき人間を「ちゃんと死なせて」破綻なくまとめ上げたと言う点で、
やはり、日本における仮想歴史ものの金字塔でしょう。
それからずっと追いかけ続け、一部短編・最近の翻訳作品・未文庫化作品
(『ラインの虜囚』・『月蝕島の魔物』)以外は全部読んでるはず。
最近の「ドラよけお涼」シリーズへの感想はまあアレですが(苦笑)、
でもやっぱり大好きな作家です。
でもほんと、何度読んでも面白いもの。OVAも全部見たし。
ちょうど10周年記念で徳間文庫版が刊行されていた時期で、
次巻の出るのが待ち遠しかったことと言ったら…。
そりゃあまあ、突っ込みどころだっていっぱいありますけど、
でも、あれだけの壮大な道具立ての中で、個々のキャラクターの魅力を存分に引き出し、
死ぬべき人間を「ちゃんと死なせて」破綻なくまとめ上げたと言う点で、
やはり、日本における仮想歴史ものの金字塔でしょう。
それからずっと追いかけ続け、一部短編・最近の翻訳作品・未文庫化作品
(『ラインの虜囚』・『月蝕島の魔物』)以外は全部読んでるはず。
最近の「ドラよけお涼」シリーズへの感想はまあアレですが(苦笑)、
でもやっぱり大好きな作家です。
桑原水菜は…いや、僕にとってはここに並んでても何の違和感もない作家ですが、何か?(笑)
「桑原水菜にはまった」というよりは、「『炎の蜃気楼』にはまった」が正解かも、ですが。
実は以前、「桑原水菜『炎の蜃気楼』を褒め称える。」なんて記事も書いてるくらいです。
生と死の境界線というテーマ(これがあることで単なるオカルトものとは一線を画している)、
熊野・伊勢などに話を帰結させていくプロットなど、小説としての面白さも一級だと思います。
個人的には、高坂弾正をいつからああいう設定にしていたのか、作者にぜひ聞いてみたいです。
「桑原水菜にはまった」というよりは、「『炎の蜃気楼』にはまった」が正解かも、ですが。
実は以前、「桑原水菜『炎の蜃気楼』を褒め称える。」なんて記事も書いてるくらいです。
『炎の蜃気楼』は1990~2004年にかけて、コバルト文庫から出された(実に全40巻!)、
サイキック現代歴史小説(笑)です。(ついでに言うと、当初は学園ものでもあった。)
主人公上杉景虎は、父謙信の命を受け、怨霊となった戦国武将たちを調伏するために、
現代まで換生(肉体が死んでも魂は死なず、他の肉体に乗り換えて生き続けること)を繰り返し、
最大の敵である第六天魔王織田信長と対決して…というお話。
歴史を素材にした作品としての面白さは、以前この記事で書いたので今回は書きませんが、サイキック現代歴史小説(笑)です。(ついでに言うと、当初は学園ものでもあった。)
主人公上杉景虎は、父謙信の命を受け、怨霊となった戦国武将たちを調伏するために、
現代まで換生(肉体が死んでも魂は死なず、他の肉体に乗り換えて生き続けること)を繰り返し、
最大の敵である第六天魔王織田信長と対決して…というお話。
生と死の境界線というテーマ(これがあることで単なるオカルトものとは一線を画している)、
熊野・伊勢などに話を帰結させていくプロットなど、小説としての面白さも一級だと思います。
個人的には、高坂弾正をいつからああいう設定にしていたのか、作者にぜひ聞いてみたいです。
余談ですが、この作品はおそらく私が読んだ2番目に長い小説ということになります。
ちなみに、最長は多分山岡荘八『徳川家康』。
読んでませんけど、現在日本最長の小説は、やっぱり栗本薫『グイン・サーガ』なんですよねえ?
(正伝だけで119巻)
ちなみに、最長は多分山岡荘八『徳川家康』。
読んでませんけど、現在日本最長の小説は、やっぱり栗本薫『グイン・サーガ』なんですよねえ?
(正伝だけで119巻)
…てゆーか、「5000字以上です」って撥ねられたよ!!
仕方がないので3へ続きます。
仕方がないので3へ続きます。