再読『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』。

今日はいい加減疲れていたし、体調もよくなかったので、
さんざっぱら寝倒した挙句、ほぼ一日オフにしました。
部屋の片づけやら史料整理やらもチョコチョコしましたが、
基本的には明日(といっても、もう今日ですが)がんばろうということで。

久々に引っ張り出してきて読んだのが、村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』。
GWに『海辺のカフカ』を読んで以来、読みたくって仕方なかったんですよね。
多分、「複数の世界が同時並行的に叙述されている」という点で、
海辺のカフカ』を『世界の終り~』の系譜を引く作品として読んだからだろうと思います。
(『海辺のカフカ』の方の自分としての評価は、もう少し落ち着いて、
 なんどか読み直したら、そのうち書こうかと思います。今はまだ定まった感想が無いので。
 良い作品であることは文句なしなのですが。)

(この先ネタバレありです。念のため。)
なんど読んでも、『世界の終り~』はほんとに良いです。
小説としての完成度も、モチーフも、キャラクター造型も、ストーリーとしての面白さも、
どれをとっても抜群の出来。

テーマは多分、「人間と認識」ということになるんでしょうか。
平行して描かれる2つの世界が、外的認識の世界と内的世界だと解った時の面白さ。
そして、この小説の良いところは、一度読んでそのことがわかってから読むと、
その関係性が再確認できる「答え合わせの面白さ」があるところでしょう。
「そうだったのかー」の楽しみってやつですね。

キャラクター造型も好きですね。
35年間、何かを失い、やり過ごしながら生きてきて、それでもやはり
この世界を眺めていたいと思う私(←何か粗雑にまとめちゃったなあ。ちょっと不本意)。
その他、博士・博士の孫娘・図書館の司書、などなど。なかなかステキな人たちです。
博士の人体実験の材料になるのは願い下げですが(笑)、
それでもこういった人たちが身近にいたら面白そうだなと思います。

ラストは、正直『世界の終り』の方にはそれほど思い入れはありません。
つか、多分『世界の終り』の方は、結果的に『ハードボイルド・ワンダーランド』の方の
道具立てというか、説明的パートになってしまっていて、あまりストーリー性はないので。
(↑独断的解釈。どなたか別意見があればよろしくお願いします)
『ハードボイルド・ワンダーランド』のラストの、喪失感というか、
しみじみとした寂しさが大好きです。
そういう寂しさを、仕方ないこととして「淡々と受け入れている」感じがいいのかな、多分。
主人公と司書さんの関係はご都合主義の気がしないでもないですが、
それはまあ、村上春樹作品では仕方の無いことなので…。
(作品中において、セックスというものは基本的に「あるべくしてそこにある関係」なので)

村上春樹作品を個人的にランキングすると(ただし『ねじまき鳥』は未読です)、
1『世界の終り~』 2『ノルウェイの森』 3『ダンス・ダンス・ダンス
になります。個人的思い入れという点に関しては、1と2は同列。
その上に『海辺のカフカ』が来るはずですが、今のところは保留にしておきましょう。