説明的なセリフ。

よくマンガなんかで「説明的なセリフ」(会話の相手ではなく読者向けの説明のセリフ)というのがありますが。

平家物語』「烽火の沙汰」より、平重盛のセリフ
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「日来の契約を違へずして、みなかやうに参りたるこそ神妙なれ。異国にさるためしあり。周の幽王、褒?といへる最愛の后をもち給へり。天下第一の美人なり。されども幽王の御心にかなはざりけることには、褒?笑みを含まずとて、すべて笑ふことし給はず。異国の習ひに、天下に兵革の起こる時は、所々に火を挙げ、太鼓を打って、兵を召すはかり事あり。これを烽火と名付く。ある時天下に兵乱起こって、所々に烽火を挙げたりければ、后これを御覧じて…
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すっごい説明的なセリフ(笑)。
「テキストが先か語りが先か」はともかく、聞き手にせよ読み手にせよ、
いきなり「烽火」って言われても、なんのこっちゃわかんなかったんでしょうね、きっと。
ま、「異国にさるためしあり。」の下りからして、そもそも説明的なんですけど。

あ、ちなみにこのセリフ、鹿ケ谷事件で後白河院を幽閉しようとした平清盛を、
押し止めるために息子の重盛が家人を動員して、
結局出動が不要になったから解散!という場面でのものです。
「また招集かけたらちゃんと集まれよ。」という訓示なんですが、話がくどい!(笑)