マリインスキー・バレエ『海賊』。


音楽:A.アダン、C.プーニ、L.ドリーブ、R.ドリゴ、P.オリデンブルクスキー、
振付:P.グーセフ
指揮:A.ポリャニチコ
演奏:マリンスキー歌劇場管弦楽団
コンラッド:ミハイル・ロブーヒン
メドーラ:ヴィクトリア・テリョーシキナ
ギュルナーレ:エカテリーナ・オスモールキナ
ランケデム:アンドリアン・ファジェーエフ
ビルバント:ドミートリー・プィハチョーフ
アリ:レオニード・サラファーノフ
イード・パシャ:ウラジーミル・ポノマリョーフ
フォルバン:ガリーナ・ラフマーノワ、ポリーナ・ラッサディーナ、リーラ・フスラーモワ、
      イスロム・バイムラードフ、アンドレイ・ヤーコブレフ
オダリスク:イリーナ・ゴールプ、ダリア・スホルーコワ、オレーシャ・ノヴィコヴァ
パレスチナの踊り:ポリーナ・ラッサーディナ
アルジェリアの踊り:エレーナ・バジェーノワ

ほんとはマリインスキーの来日公演は全てパスするつもりだったのですが、
11月に一つ仕事の締め切りを終えたら無性に見たくなって、
結局関西の3公演全てのチケットをネットで調達(苦笑)。
うーむ、帳尻は頑張って冬期講習で合わせます。

で、今日がその第一弾『海賊』でした。
言わずと知れた人気の演目。
ストーリーは、
 海賊コンラッドが難破→浜に打ち上げられたところをギリシャ人の娘メドーラが助ける
→そこにトルコ兵を手引きした奴隷商人ランケデム登場、コンラッドは逃れるがメドーラ達が捕まる
→ランケデムがメドーラ達を総督セイード・パシャに売りつけようとするところにコンラッドが登場し救出
コンラッド・メドーラ一行は本拠地に帰るが、メドーラ以外の娘達は故郷に返してくれるよう懇願
→娘達を返したコンラッドに不満を持つ手下達をランケデムがそそのかし、メドーラを連れ去る
→ランケデムはセイード・パシャにメドーラを引き渡すが、そこに再びコンラッドが登場しメドーラを取り返す
→めでたしめでたし
というもの。
解説にまで「筋書きは他愛ないもの」と書かれてしまうくらいあっけらかんとしたストーリーですが、
いいんですよ、別に。だいたい、いつもいつも重いストーリーだといい加減しんどいし(笑)。

全体に異国情緒&大スペクタクル満載の楽しいお話なのです。
序曲はいきなり銅鑼よろしくシンバルがジャ~~ンと鳴らされます。
1幕では、市場での奴隷のプロモーション・ダンス?が、見てる分にはやっぱり面白い。
2幕はアジトの洞窟で飲めや歌えや踊れやの大騒ぎなわけですが、
コンラッド・メドーラ・アリの3人によるパ・ド・トロワはやっぱすごいですね!
アリのサラファーノフが一番ノリノリ(振り付け的にそうなのかな?)で、
カーテンコールでもひときわ大きな拍手を浴びていました。
あと、個人的には海賊のおにいさん方による群舞はパワフルでよかったです。
ボリショイの時もそうでしたけど、やっぱりこういう男性の群舞はさすがの迫力。
3幕は、「生ける花園」(総督のハレムの女達の群舞)がやはり圧巻。
…というか、これがなかったら3幕見るとこないし(笑)。
3幕ってこれがやりたいがためだけにあるようなもんだよなあ。

で、なんかこう、設定的に、ちょっと釈然とせんよな~というところも。
市場での奴隷の踊りにしても、「生ける花園」にしても、
結局、ハレムってやつは男のロマンだったんでしょうかねえ(苦笑)。
こういうところ、女性の目から見てどうなんでしょうね。

あと、故郷に帰してくれという娘達の懇願を、
コンラッドは(最初は不承知だけど、メドーラが頼むので)聞き入れるわけですが、
手下にしてみれば、「あんたは彼女ができて良かったかもしれんけど、オレたちゃただ働きですかい?
そりゃないぜ、ボス!」とまあ言いたくもなるだろうなーと。
正直、反乱起こされても仕方がないですよね。命があっただけ良かったじゃないですか(苦笑)。
(非常に反社会的発想ですが、そもそも彼らは海賊なわけでして…)
そもそも、海賊が娘を略奪したら自分の女にするに決まってるわけで、
メドーラの後ろで喜んでる娘達は、そもそも浮かれすぎだろう、と。
(極端に言えば、買主が総督から海賊に代わっただけじゃんか。)

いや、あの、とってもいい舞台だったし、すごく楽しめたんですよ。
まあねー、古典の演目だし、こういうことを言うのはヤボってもんなのですが。

音楽は、「指揮はゲルギエフじゃないんだ」というのが第一印象(苦笑)。
ってゆうか、今回の来日公演では振ってくれるんですかね?
パンフにはちゃんと出てるんですけど。
できれば大阪公演では一度くらい振ってほしいな~。
オケはさすがにうまかったのですが、ところどころ管がヘチョってたかなという印象。
こちらも大阪では期待してます。