多数派の共感力。

夫婦別姓と再婚禁止期間規定について、最高裁の判決が出ましたね。
現行法の枠内で審理すれば、この内容になるのだろうなあという意味では、予想の範囲内の判決です。
特に、夫婦別姓の問題については、「夫婦の一方の姓を選択する」と規定されているが、
「実態として96%の夫婦が夫の姓を選択している」というのは、法的な問題というよりは社会の問題でしょうから。

私自身は、選択的夫婦別姓は導入されるべきだと思っています。
ただ、導入の方法は、司法判断ではなく、国会での法改正によるべきだろうとも思っています。

以前同性婚の問題に関連して書きましたが、マイノリティの権利が法によってどれだけ保障されるかというのは、
社会の成熟度を示す一つの指標だと考えています。
なぜなら、多数決の原理で運用される民主制は、少数派の意見は反映されにくい制度であり、
少数派のニーズが法に反映されたということは、そこに直接の利害関係を持たない多数派が、
少数派のニーズに積極的に寄り添った結果だと言えるからです。

選択的夫婦別姓を当事者として求める人は、社会においては少数でしょう。
ですが、極めて実際的な場面に限定しても、銀行口座その他の改姓手続きなど、
結婚によって改正する側の人に生じる不利益は多数存在します。
業務上、結婚前に得た国家資格などが必要とされる人にとっては、その煩雑さは切実な問題です。
結婚し改姓した後も研究を続けている人たちの、学位の証明書などの問題を考えた時、
私は、選択的夫婦別姓の早期導入を切望して止みません。