将棋名人戦、毎日新聞から朝日新聞へ移管決定。

えー、これまで一言もこの一件については書いてこなかったのですが、
ずーっと注目はしておりました。名人戦移管問題。

事の起こりは、将棋連盟と毎日新聞との契約で行われていた名人戦について、
将棋連盟が「うちお金ないし、朝日がもっといい額出してくれるっていうから、
契約更新せずに朝日と新規契約するし」と一方的に通告したのが発端。
そりゃあパートナーだと思ってた毎日としては怒ります。
で、「そないになめた言い分が通ると思ってか!」という毎日の剣幕に、
連盟は「じゃあ、とりあえず再交渉しましょうか」と居直り。
そこで毎日は、総額では朝日案と遜色ない条件の案を提示したのが、
今日の棋士総会で否決された、というのが今日の結末なわけです。
(ざーっとした説明なので、詳しい情報が追いたい方は
 勝手に将棋トピックス(http://d.hatena.ne.jp/mozuyama/)をどうぞ)

以下、幼い頃から筋金入りの毎日読者で、かつ、
ちゃんと将棋の情報誌を定期購読している(つまり、お金を出している)
それなりにコアな将棋ファンとしての意見。

まともに考えれば連盟側の言い分にはサッパリ理がないわけで、
羽生さんなどタイトル持ってるトップ棋士が毎日支持を表明したのは、当然っちゃあ当然。
が、結局毎日案はなぜか否決され、理事会側の当初目論見通り朝日へと移管されることが決まったわけです。

問題はですね。
金銭面で朝日案を支持する理由が額面的にはほぼなくなり、
連盟側に手続き上の瑕疵・信義上の問題が明らかにある状況で、
朝日案を支持する理由や毎日案を支持しない理由が全く明らかにされないまま、
朝日への移管が決定したことです。
この点、毎日案支持者が確たる理由を主張していたことと大きな隔たりがあります。

朝日案支持の理由は、額面の問題ではなく、ひも付きなしに連盟の好きに使える振興費名目の額の問題であり、
そのお金は連盟の事業が出した損失の補填に使われる、といううわさもあります。
その真偽は、私にはよくわかりません。
逆にわかっていれば、そういう事情なら仕方がないのかなとも思えるかもしれないのですが、
わからないので、納得のつけようがないのです。
そして結局、残るのは「とくにはっきりと理由も言わず、長年のパートナーを裏切った」という事実です。
「将棋は文化である」とか、「将棋は礼儀作法のゲームだ」とかなんとか
棋士の皆様方は長年主張されてきた訳ですが、これからはまあたいがい空々しくしか聞こえんでしょうね。
ファンとしては正直萎えます。そういう人が多数派ならいいなと思うのですが。

連盟なんか潰れちまえ…。組織なんかなくても将棋は指せるんだもの。
プロ棋士が生業として成り立たなくなったって仕方ないですよ。
彼らは自分で自分の首を絞めたのです。