芸術劇場『ジゼル』。

さて、今日の芸術劇場は、前々から楽しみにしていたコジョカル&ルグリの『ジゼル』でした。
いや~、良かったです。これは生で観たかった。
(昨年の世界バレエフェス全幕プロの一つとして8月16日に東京で公演)
以下、適当に感想です。

第一幕
・ジゼルの家の前で、「ノックしようかな~、どうしよっかな~」とあれこれ迷う木村ヒラリオン。
 結局ノックせずに、黙って獲物の鳥と花を一輪残して袖に引っ込む。
 いい奴だ、でもじれったいぞ!(笑)
 そして花はジゼルとアルブレヒトの花占いに使われます。
 なんかちょっとかわいそう(結局ジゼルはヒラリオンからだと気付かないわけで)。

・剣を解いたりして身分を隠してジゼルに会いに行くルグリアルブレヒト
 でも、隠し切れない生まれ・育ちのよさとエロさ(笑)。
 そしてやけに押しの強い口説き
 プレイボーイってのはやっぱあんなもんなのか?私にはよくわかりませんが。
 最後、「なんてことすんだよ!」とヒラリオンに突っかかって行くのですが、
 「全部お前のせいだろうが!」とヒラリオンに逆に食って掛かられて「ウッ」てなります。
 そういうとこも育ちの良さが出ているアルブレヒトでした。素直なんだよね。

・前半の無邪気な段階から、そこはかとなく繊細さというか線の細さを感じさせるコジョカルジゼル。
 後半、アルブレヒトの正体と婚約者の存在がわかって精神的に壊れてしまうのですが、
 それもむべなるかなと思わせます。
 つーか、これって一番「遊びで手出しちゃダメ」なタイプの女の子なのでは…。

第二幕
・ジゼルの墓に身を投げ出してむせび泣くヒラリオン。
 でも、確かに悲しんでるんだけど、「あいつのせいでこんなことになって」という風情。
 自分にも責任の一端はあるのですが、そこのところは見えてない感じですね。
 個人的には、「ウィリに踊らされて苦しげな表情&ミルタに必死の懇願」という
 木村さんの表情に激萌(笑)。

・登場した時から沈痛な表情のアルブレヒト
 なんだか「後悔」が具現化したような表情。
 ミルタの前に出てきた時も、なにかこう諦めとか罰を進んで受け容れようとする雰囲気があります。
 去年のヴィシ&マラーホフのジゼルの記事のコメントで、totoさんが
>個人的には2幕でヒラリオンが殺されてしまうのは、ジゼルの死について「俺のせいじゃない」と
>最後まで思ってたからじゃないのかなって。だから命乞いがきかなかったんじゃないのかなぁ。
>俺は悪くない、だから助けてくれ、と言っていそうですよね、ヒラリオンは。
>アルブレヒトは悪いヤツだったけど、ジゼルの愛を再確認することもあって、
>最後「俺が悪い、助かっても助からなくてもどちらでもいいが、ジゼルのために生き残りたい」みたいに
>改悛するから救われるんじゃないのかなと。
>これは今回のコジョカル・ルグリを見ていて思ったんですけども。
 と書かれていましたが、とても良くわかった気がします。同感。
 最後、舞台中央でパタパタと花を落とし、最後の一輪を掲げるルグリの表情が本当に素晴らしかったです。

・深い慈愛と寛容さを湛えるジゼル。素晴らしい!
 男性が女性にこれを求めるのは、いささか虫が良すぎる気がしますが(笑)。
 でも、これならミルタの力にだって打ち勝つ気がするな。

・井脇ミルタの表情一つ動かさないクールな美しさもステキでした。

とりあえずそんな感じです。

(追記)
後藤さんと小出さんてご結婚されたんですね~。おめでとうございます!