第24回文楽鑑賞教室@国立文楽劇場。

第24回文楽鑑賞教室@国立文楽劇場 6月18日

寿柱立万歳
太夫:竹本貴大夫
才三:豊竹睦大夫、豊竹つばさ大夫、豊竹呂茂大夫、豊竹靖大夫、鶴澤清志郎、豊澤龍聿、豊澤龍爾、鶴澤清公
人形遣い
太夫:桐竹紋臣
才三:吉田簑一郎

はやし:望月太明蔵社中

解説 文楽へようこそ
太夫:竹本相子大夫
三味線:鶴澤清丈
人形遣い:吉田勘市

仮名手本忠臣蔵
二つ玉の段
豊竹始大夫
鶴澤清馗
(胡弓)鶴澤寛太郎

身売りの段
豊竹咲甫大夫
竹澤宗助

勘平腹切の段
竹本文字久大夫
鶴澤清二郎

百姓与市兵衛:吉田清五郎
斧定九郎:吉田幸
早野勘平:吉田清之助
おかる:吉田清三郎
与市兵衛女房:吉田文司
一文字屋才兵衛:吉田勘市
めっぽう弥八:桐竹紋吉
種子島の六:吉田玉翔
狸の角兵衛:吉田蓑次
原郷右衛門:吉田玉志
千崎弥五郎:吉田玉勢
駕籠舁:大ぜい


学会の委員会が夕方に梅田で入っていたので、それだけのために大阪行くのもなーと思っていたところ、
2週間ほど前に見つけたのがこの企画。
ちょうどうまい具合に今週の講義で元禄文化の話もするし、
文楽は今まで見たことないからちょうどいいやーということで行ってきました。
演目も実にメジャーな忠臣蔵ですから。

この企画、チケットも3600円とお手ごろで、しかも解説とちょっとしたパンフレットが付きます。
このパンフレットが優れもので、ちゃんと床本(要するに台本)も付いてるし、
文楽についてのQ&Aや演目の説明なんかもマンガ形式で書かれています。

ただ、あらかじめ覚悟はしてたんですが、見事に高校生の学校公演と重なりまして。
3校ぐらい来てたのかな?正直落ち着かなかったです。
でもまあ、幕が上がってからは一応黙って寝てくれたので(笑)、邪魔にはなりませんでしたが。
まあねー、高校生で文楽を半強制的に見せられても、
つまんないと思う子がいたってある程度はしょうがないですよね。
終わった後の反応を聞くともなく聞いてると、「面白かった」なり「ちゃんと見てた」という反応は
それなりにあったので、それなりにやるだけの値打ちはあるんだな、とも思いましたが。

さて演目についてですが、「寿柱立万歳」は、家を建てる際に初めの柱を立てる時に踊る万歳楽のこと。
三河から江戸に出てきた太夫と才三が賑やかに唄い舞います。
…なんで三河なんですかね?

忠臣蔵の方は、勘平・おかるのちょうど切りのいいところの抜粋ですね。
歌舞伎の場合でも通し狂言でやることはそうないと思うので、きっとポピュラーな上演形体かな?
発声もわかりやすいし、語彙も全然問題ないので、実にすらすらとわかりやすかったです。
「カブキ」の時に良く飲み込めてなかった部分が実にすっきりしました(笑)。
すごいよなー、「お前さんが『女房を売って金を調達しよう』と思っているのに両親に遠慮してるかも
しれないから、いっそワシ(父親)が婿殿に知らせず娘を売ろう」って…。
筋自体は悲劇なんですけど、こういうのって江戸時代の庶民からしたらすんなり受け容れられた…
…んでしょうねえ、きっと。
むしろ、子供を年季奉公に出すのがある程度当たり前だと、
なおさら身に迫って感じられるのかもしれませんね。
とはいえ、与市兵衛が劇中で死ななきゃいけないのは、娘を売った因果なんじゃないのかな~、と
ちょっと思ってみたり。

あと、歌舞伎でも「カブキ」でも一文字屋は女性で「お才」なんですけど、
文楽だと男性で「才兵衛」なんですね。
なんとなく、女性にしたほうがより「やり手」で生々しい感じかな。

それにしても、文楽の人形ってほんとに良くできてますね!機械的にも操作技術も。
「寿柱立万歳」では、人形間で鼓の投げ渡しなんてやる場面があって、びっくりしました。
あれは伝統として維持していくだけの価値が確かにあると思います。
面白かったので、機会があればまた見に行きたいです。