東京バレエ団『ザ・カブキ』。


由良之助:高岸直樹
直義:横内国弘
塩冶判官:首藤康之
顔世御前:斎藤友佳理
力弥:大槻政徳
高師直木村和夫
伴内:高橋竜
勘平:長瀬直義
おかる:佐伯知香
現代の勘平:梅澤紘貴
現代のおかる:高村順子
石堂:宮本祐宜
薬師寺:野辺誠治
定九郎:飯田宗孝
遊女:井脇幸江
与市兵衛:横内国弘
おかや:坂井直子
お才:西村真由美
ヴァリエーション1:松下裕次
ヴァリエーション2:長瀬直義

ほぼ2年ぶりに見る演目。ストーリー等は前回の感想をご覧下さい。
今回はベジャール追悼公演ということで、
首藤さん(特別団員)・大槻さん(特別団友)・飯田さん(芸術監督)が特別出演。
いじめっこ師直(木村さん)といじめられっこ判官(首藤さん)の取り合わせが最高でした!(笑)
でもほんと、事件の発端になる3人の絡みの場面なんか、
拒んでるけど口説かれる斎藤さん・本気で口説く木村さん・
激怒する首藤さん(こういう人の奥さんに手を出してはいけません…いや、誰の奥さんでもだけどさ)
三者三様の演じ方が素晴らしくて、これなら事態は収まらないよねえ、と納得。
殿中松の間の場面なんて、木村さんの憎らしいことといったら(笑)。
切腹の場面で醸し出される、首藤さんの繊細さも素敵。
パンフを読んで知ったのですが、師直は長いこと飯田さんが踊ってらしたんですね。
さぞかしくどかったんだろうな~(笑)。見てみたかった。

今回珍しく2階席最前列で見たので、細かい表情よりは、舞台全体を視野に入れて見ることに専念。
見るのが3回目の演目ということもあって、なかなか楽しめました。
城明け渡しのところで、たしかに定九郎だけ振りが違うんだなあ、とか。
あとは、つくづくこの話を動かしてるのは顔世なんだなー、と。
判官切腹の場面で、顔世はいったいどんなことを思っているのか…。
雪の別れで由良之助に仇討ちを迫ってかき口説くのにしても、非情といえば非情。

で、高岸さんの由良之助ですが、相変わらずカッコいい~!
1幕最後のソロが、やっぱりなんといっても圧巻。
そして、一力茶屋の場面で遊女と遊び呆けてる場面で本気でデレッとしてそうなのも相変わらず(笑)。
一度後藤さんの由良之助も見てみたいんですけど、さすがに2日見るだけの余裕はねえ…。

他に印象に残ったのは、おかるの佐伯さんでしょうか。
小出さんがおめでたで佐伯さんにお鉢が回ってきましたが、これがまたカワイイ!
ほんと舞台映えする人だよな~。前回の「くるみ」の妹役に引き続きメロメロっす。

群舞は、女性ではなんと言っても城明け渡しのところで「いろは」をバックに踊る侍女のみなさまがいいです。
ご乱心~という感じ。
これ、絶対ベジャールのヨーロッパの観客向けサービスだと思うなあ。
あんましストーリー上の必然性がない場面だし(笑)。
この場面、打掛と黒子の使い方がものすごくうまいんですよねー。
異文化をある意味当事者以上に活用しきってしまうところは、本当にベジャールのすごさだと思います。

同じく「ヨーロッパの観客向けサービス」じゃないかなーと思うのが、
憂いの男たち、通称「フンドシーズ」(@横内さん)の踊り。
思うに、彼らは主君の仇討ちを熱望する若き過激派の面々なのですが、
ダンサー8人が赤いふんどし一丁で、めきめきと力感の籠もったポーズを取ります。
海外公演で「ワオ!」とか声がかかるらしいですが、そりゃそうでしょう、日本人でもビックリですよ(笑)。
今回初役の男の子が多かったみたいですが、けっこうグラッとくるところがあったりして、ちょっとハラハラ。
あと、ああいう衣装のときは、やっぱりみんなもうちょっと胸と肩の筋肉があった方が、エロくて良いです。
(余計なお世話?)

というわけで、何度見ても、というより見れば見るほど楽しめる作品です。
また見たいな~。次にやるのはいつになるでしょうか。

ところで、まさに討ち入りの日に合わせて行われた公演でしたが、
11月の『くるみ割り人形』とどっちを12月にやるかは、けっこう悩みどころだったんじゃないですかねー。
くるみ割り人形』もクリスマスのお話ですから。