遅ればせながら全日本フィギュア感想。

さて、どえらく遅くなりましたが、昨年末の全日本の感想を。

○男子シングル
誰が何と言おうと、私にとって今回の全日本は「本田君最後の全日本」でした。
SP・FS・エキシビと、どれももう泣きそうな気持ちで見てました。
いやー、エキシビの「アランフェス」(そう、ソルトレークのあのアランフェス!)はほんと良かった。
特にスローな部分の演技の説得力は、やっぱ他の人の及ぶところではないですね。
この人のイーグルはほんと上半身で語ります。単なるの技じゃなくて、完全にダンスの振りの一部分。
個人的には、SPのストレートラインステップの直前と、終了後に見せた、
いろんな表情が入り混じった、なんとも言えない表情がすごく切なくてたまりませんでした。
それだけに、フリー終了後の彼の涙を見て、猛烈にジーンときましたね。
フリーももちろん万全の出来ではありませんでしたが、納得の行く完全燃焼の演技だったんじゃないでしょうか。
それが多分、あの晴れ晴れとしたエキシビの表情になったんだと思いました。
本田君、本当にお疲れさま。
四大陸選手権の代表に選ばれてたけど、出るのかな?もうこれで打ち止めでもいい気がするんだけど。
(確か四大陸選手権はCSのESPNで放送があったような気が…)
ってゆうか、来年からプリンスアイスワールドに出ません?

高橋君・織田君ともに、疲れからか出来としてはいまいちでしたね。
でも、それなりに見せ場を作ってしまうところが、
高橋君の今季の成長振りをよく表しているのではないかと思います。特にフリー。
正直、ミスジャッジがなくても高橋君が上の点数が出てほしかった。
ミスジャッジ問題は後味が最低でしたな…。
とはいえ、もう終わったことなので、すっきりとトリノに向けて切り替えてほしいです。
今年の最終目標は、あくまでオリンピックなのですから。

あと、個人的に一押しだったのが、まだジュニアの小塚君。
SPはジャンプがメタメタでしたが、
その分異様なまでに上手なスケーティングが余計強調されてました。
なんかもう一人だけ魔法の靴を履いてるんじゃないかと思ってしまうくらい。
さすがは佐藤門下と言うべきか。
フリーの演技でも、技術の高さは際立ってました。
表現力をこれから付けていけば、とても楽しみ。順調に育ってほしいものです。

あと、柴田君のビールマン&ドーナツスピンは映像ではじめて見ましたが…。
正直、あまり見てて麗しいもんではないですね(苦笑)。
女子でもそうですが、特にビールマンは単に出来りゃいいってもんではないですね。
最近新採点方式に対応して取り入れる選手が増えた分だけ、余計にそう思うようになりました。

それにしても、4回転決めたのが3位の中庭さんだけってのは寂しかったなあ。
みんな忘れてるかもしれないけど、ソルトレークの時には代表枠は2あったのに
全日本で4回転跳べないと五輪に行けなかったんだよ~(もう一人の代表は竹内君)
全体に男子はジャンプのレベルが低下しつつありますね。
バトル君みたいに4回転跳ばずに勝とうなんて志の低いことやってたらダメなんだってば。
田村岳斗君がブログで書いてたように、4回転ジャンプの基礎点はもっと高くてしかるべきだと思いますね。
(※2008年12月追記
 そうか、昔はこんな4回転至上主義なことを書いてたんだな~ 苦笑)

○女子シングル
SPもすごかったですが、フリーはさらにすさまじいハイレベルの戦いになりましたね。
これが国内選手権とは…へたな国際大会よりレベル高いよ。

村主さんの集中力にはほんと脱帽。すごいです。もう何か超越しちゃってる感じ。
NHK杯のフリーの演技を見て、絶対全日本ではやってくれると信じてましたけど、ここまでとは。

逆に荒川さんは、代表枠を取るべくして取った、という雰囲気。
あくまで照準はオリンピックで、まだまだプログラムに上積みが見込める。

いろんな意味で、村主さんと荒川さんのアプローチって対極だよなあと思います。
一つ一つの技の完成度を高める村主さんと、新技をどんどん取り入れる荒川さん。
一回一回とことん追い込んで、何かを降ろしてきて緊迫感を作り上げる憑依系の村主さんと、
いつもの延長線上に、当然のように厳しくかつ華麗な世界を作り出す荒川さん。
こういう対照的な二人が、ライバルとして高いレベルでしのぎを削っている今は、
まさに黄金時代と呼んでよいのでしょう。
対極を行く二人が、五輪でどんな結果を出すかがすごく楽しみです。

安藤さんは、結局トリノではあのフリーのプログラムを変えてしまうそうですが…
個人的には、プログラム自体はいいんだからこなせるように頑張ってほしかった気が。
まだ完全じゃないけど、全日本が今までで一番出来が良かった気がしましたし。
(一部マスコミは手のひらを返したような反応でしたが。ヤダヤダ。)
何にせよ、代表になったからには、本番に向けてがんばってほしいものです。

個人的には、トリノでは中野さんの演技も見てみたかったなあ。
まあ、世界選手権の代表には選ばれたので、こちらに期待しましょう。
思うに、中野さんは恩田さんに上に行かれてしまったのが痛かったですね。
これが浅田さんを除外して三番手だったら、安藤さんの上にする理由もあったんですが、
恩田さんが上にいるから、中野さんを上にするわけにもいかなくなった。
その意味でも、恩田さんの頑張りは大きかったと思います。
今回の恩田さんはほんといい出来でした。ある意味、今回一番の驚き。
フリーの曲は、今までだったらきっと踊りきれなかったと思います。
どっちかというとテンポは重い曲だし(観客はステップの手拍子がしづらそうだった)、
今までだったら、テンポに引きずられてスケーティングも重くなっていたはず。
あれを踊りきれるだけの表現力がついたんだなあと思いました。
負けはしたけど、キスクラを見てても相当うれしかったんでしょうね。それも納得の出来。
これからはもうちょっと注目して見てみようかと思います。

浅田さんの演技は、正直最近ちょっと食傷気味(苦笑)。
なんだろう、「何度でも見たい」と思わせる演技じゃないんだよね、やっぱ。
もちろん技術的にはすごいので、来年以降の成長ぶりに期待ということで。
…佐藤門下と山田門下は、お互い交換留学しませんか?(笑)
でも実際、恩田さんも中野さんも、山田コーチから離れて表現力がアップしたからなあ。

○エキシビジョン
見所はずばり、本田君と荒川さんとヤグディン

荒川さんはさすがだったなー。
なんだろう、あの凛とした雰囲気はもう他人の追随を許しませんね。
そしてやっぱあのイナバウアー
世界選手権で勝った時も、あのイナバウアーで会場がどよめいたんだよなあ。
スパイラル一発で会場がわく選手ってそういませんよ。
今日の報道ステーションで写していた練習風景を見る限り、練習では入れてましたね。
本番ではどうなんだろ?
あと、「見せる」という点では、
プリンスアイスワールドでのプロ活動がプラスになってるんじゃないのかな。
以前伊藤みどりさんがメインだった時期に見に行きましたけど、また見に行きたいなー。

ヤグディンはすっかり「プロのスケーター」になってましたね~。素敵♪
相変わらずすごいステップとか力感と、エンタテイメントのブレンドが絶妙。
アメリカの本場のアイスショーがすごく見てみたいです。
顔見たとき「ちょっと太った?」と思ったんですが、
シャツを脱いだらすごい筋肉でビックリしました。筋肉マニアとしてはたまらん(笑)。
太ったんじゃなくて、完全に大人の顔になったんですね。

ところで、フジテレビでは女子・エキシビのみが全国放送で、
男子はフリーを関東地域のみ深夜に放送していました。
…仕方がないからCSフジと契約しましたよ(苦笑)。
民放各局には「放送権」というものについてもう少し考えていただきたいもんですな。
あと、今日の報道ステーションでも、フィギュアの代表4人という扱いをしてましたが、
ちゃんとアイスダンスの渡辺・木戸組にも言及してあげて欲しいものです。
頑張ってオリンピック代表枠1を自力でつかんできたんだからさあ。