今日は怪異学会。

今日は東アジア怪異学会の例会に行ってまいりました。
いやー、久々だなあ。多分1年以上行ってなかったし。
今日の報告者はKG大の学生のHくんと、
研究代表のNさん(←先生とお呼びしたら「先生はやめて」と言われる)。
タイトルはそれぞれ、
後白河院託宣に関する一考察―二つの託宣事件を題材として―」
「社会性疾患と怪異―室町時代宮廷社会の精神史―」
うーん、なかなか異色の取り合わせ。
前者は具体的な事件に密着した政治史研究。
後者はどちらかというと思想史系になるのかな。
その時代特有の社会的要因によって、どのような疾病(特に精神的な)が惹起され、
それを同時代人がどのように認識したか、という話なので。
どちらも面白くて勉強になりました。
特に前者については、専門が近いのでかなーり好き勝手言ってしまいましたが(苦笑)。
まあ、Hくんには「人は自分の聞きたいように話を聞くのだ」といういい経験になったでしょう。
(と、自己弁護してみる)

久しぶりに行ったから、ひょっとしたら報告を頼まれるかな、
そして頼まれたらネタがないから断固として断ろう(笑)と考えていたのですが、
あにはからんや、運営委員的な役割に加わるように頼まれました。
という訳なので、来年度はKG大のTくんやKくんと仕事をすることになりそうですよ。
まあ、好きな学会だし、お世話にもなっているので、お手伝いをする分にはいいんですけどね。
1年半ぶりに顔を出した人間に仕事を振らなくちゃいけないところに、人材不足が露呈している気が…。
せっかくなので、見学会など自分のやりたいアイデアを提案してきました。
学会という場は、会員の自己実現のためにあるものでしょう?

ちなみに、来月の21日は第二回の大会です。
興味がおありの方はぜひご参加下さい。
日時:2006年3月21日(火・祝)13:00~
場所:関西学院大学B号館1階
テーマ:「王権と怪異」(※多分仮題)
発表者:林淳氏(愛知学院大学教授)・上島享氏(京都府立大学助教授)
コメント:西山克氏(関西学院大学教授)・榎村寛之氏(斎宮歴史資料館主任学芸員
コーディネーター:大江篤氏(園田学園女子大学助教授)
http://kaiigakkai.hp.infoseek.co.jp/invitation.htm

…上でイニシャルにしておいて、下で実名を出したら意味がない気もするな(苦笑)。
まあ、公式HPで出てる情報だし、「広報して来い」って言われたから、いいよなあ、別に。

終わってからは駅前の飲み屋で宴会、梅田まで戻ってからさらに喫茶店で延長戦。
これが実に面白い。今日のトークは全近代社会における社会的な知の体系の話。
思い返してみるに、そもそもは「真宗の広がりが在地社会に与えた思想的影響」がきっかけだったんだよな。
で、真宗の神祇不拝の徹底してる地域(京都・大阪・北陸)と、それ以外の地域の神仏習合の偏差の話に。
そっから、常陸国風土記の蛇退治の話になり、律令政府の保有する知が在地の知を駆逐する話に。
(↑このせめぎあいを手塚治虫が書くと、『火の鳥』の太陽編になる)
で、中国の「在野の士」っていう発想は日本にはないよねという話になり、
社会的身分の上昇装置(科挙)の存在と、どっちが先なんだ?etc.と話が展開。
直接自分の専門には関係ないんですけどね、
でも、こういう「表面に出ない」(出さない)知識とか考え方の蓄積って、
大事なんじゃないかって思うんですよね。
こういう学会・研究会のあとのトークって、ある種のサロン的なあり方なんじゃないかと思います。
お互いの知識をフランクに交換することで、お互いを刺激しあい、影響しあう。
こういう時間の過ごし方は大好きですね。
そのアウトプットのためには、自分の時間でのインプットが必要なことはもちろんですが。