フォーレ「レクイエム」@京都ミューズ。

フォーレ「レクイエム」@京都コンサートホール 2007年7月14日(土)
[曲目]
メンデルスゾーン「序曲 フィンガルの洞窟」
林光「木琴協奏曲」(初演)
フォーレ「レクイエム」

[出演]
指揮:下野竜也
管弦楽京都市交響楽団
ソプラノ:日紫喜恵美
バリトン:片桐直樹
合唱団:京都ミューズ・フォーレ・レクイエム合唱団
木琴:通崎睦美

昨日はうちの合唱団の演奏会でした。
…身びいきなしで、ものすごい演奏会でした。
あんなすごいフォーレの「レクイエム」は初めてです。
以前にも書きましたけど、この曲って静謐で透明感溢れる祈りの曲で、
難しい曲であり、かつ、何よりうちの合唱団のカラーに合わない曲だったんです(苦笑)。
でも昨日は、合唱がものすごくソフトで、澄んだ高音で…。
これがまた、京都コンサートホールの響きの空間にぴったりとはまってたんですよね。
そして、京響ソリストも実に素晴らしかった。

で、何より一番すごい!と思ったのは、指揮者の下野さん。
全ての出演者を統率しきった、実に素晴らしい指揮でした。
先週の日曜日が合唱団の指揮者レッスンで、それも手伝いに行ってたんですけど、
その時から合唱団の反応が良くて、「これは行けるかも」っていう感じだったんですよね。

それで、本番はまず「序曲フィンガルの洞窟」→林光「木琴協奏曲」の順で前半だったんですが、
これがまたすごかった。
「フィンガル~」は聞いたことがない曲だったんですが、
とても緊張感のある、メリハリのきいた演奏でした。
一般に知らないような序曲って、わりと「ふーん」ていう感想で終わることが多いんですけど、
今回は京響がノリノリなのも伝わってきて(久々にオケ単体の演奏を聴いたけど、やっぱ上手いわ…)、
これは今日はすごい演奏会になるかも…と予感させる出だしだったんです。
次の木琴協奏曲も、曲自体も現代曲で面白かったし(バリバリ変拍子 笑)、
演奏もすごく良かったので、すごく楽しめたんですよね。
それに、木琴というかパーカッション一般は特にそうだと思うんですけど、
上手な演奏演奏って見てるだけで人間技じゃない感じがしませんか?

そんな前半だったので、休憩後もお客さんはすごい期待して集中していた感じで、
曲間がものすごい静かで緊張感が壊れない。
そしてレクイエムの演奏が終わって、指揮棒が止まり、最後の音の残響だけが残る。
ここでたいてい指揮者はぴたっと数秒止まって、動くと拍手が起こる、
というのがたいていの演奏会なんですが
(というか、たいていは指揮者が動くより先に誰かが拍手をしてその静寂をぶち壊すことが多い)
下野さんは数秒どころか10秒ぐらい(くらい?時間の経過がわからないほどだったので…)
静止したまま動かない。まったく動かない。
しかも、会場中がその静寂を共有して、ずっとそれを維持していたいような空気。
下野さんが指揮棒を下ろしても、まだ静寂。
やっと下野さんがお辞儀をしたところで、万雷の拍手。
拍手もものすごく長くて、オケが起立しなければもっと続いていたと思います。
僕はあんな演奏会は他に経験したことがありません。

というわけで、嵐の中を聴きに来たお客さんも、ほんと大満足の演奏会だったと思います。
すごかったです。ブラボー!