東京バレエ団『ニジンスキーの伝説』。

東京バレエ団ニジンスキーの伝説』@東京国際フォーラムCホール 9月15日

レ・シルフィード
振付:M.フォーキン 音楽:F.ショパン
プレリュード:吉岡美佳
詩人:フリーデマン・フォーゲル
ワルツ:長谷川智佳子
マズルカ:田中結子
コリフェ:高木綾、奈良春夏

薔薇の精
振付:M.フォーキン 音楽:K.M.ウエーバー(編曲:L.H.ベルリオーズ
薔薇:大嶋正樹
少女:高村順子

牧神の午後
振付:V.ニジンスキー 音楽:C.ドビュッシー
牧神:シャルル・デュド
ニンフ:井脇幸江

ペトルーシュカ
振付:M.フォーキン 音楽:I.ストラヴィンスキー
ペトルーシュカ:中島周
バレリーナ:小出領子
ムーア人:平野玲
シャルラタン:高岸直樹

指揮:アレクサンドル・ソトニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


マラーホフの降板によって「大変でしたね」な準備になったこの公演。
幕が上がる前にササチューさん(東バの総監督)からご挨拶。
「大変でしたがダンサーの皆さんのご協力によって…」とまああれやこれや話されたんですが、
代わりのダンサーを紹介する中で、ジュドのところで
「これまで世界バレエフェスティバルにもさんざんご出演いただいて」と一言。
「『さんざん』て言ったよ!?(笑)」と客席。

んで、マラーホフのヒザの状態を
「医者からは9月中は飛行機の移動はダメと言われるような状態で…」と説明して、
一番最後に「マラーホフさんがみなさんに一言お詫びとご挨拶をしたいということで
わざわざ今日飛行機でお越し下さいました」と紹介。
で、なんと舞台にマラーホフ登場。
えー、そりゃうれしいけど、ヒザ大丈夫なん、ヒザ。
律儀だなあと思うけど、無理せず療養しててくれたらいいのに。
(まあ、17日の心斎橋そごうのイベントはキャンセルになってなかったので、
 そっちの出演の都合もあったんですかね)
ともあれ、お早い回復をお祈りしております。


さて演技の感想。
○レ・シルフィード
うーん、汚れなき舞台(笑)。
幕が上がったときに「妖精たちに囲まれて、両手に花状態の王子様」という画なんですが、
なんせフォーゲルがかわいくてかわいくて。
吉岡さんは独特の浮遊感がありますね。重力を感じさせないというか。
ステキでした。やっぱいいな~。

序曲がショパン前奏曲第7番(太田胃散のCM曲)のオーケストレーションだったんですが、
これが実に気だるい。ソトニコフさんモーレツに引っ張るし。
序曲聴いてて「これって終わるんか?」と思ったのは初めてですよ。

○薔薇の精
うーん、これが今回ピンと来なかったなあ…。
去年大阪で見たときはずっと印象強かったんですけど…て、あの時は木村さん&吉岡さんだったのか。
高村さんはとってもかわいかったんですけど。

○牧神の午後
「ジュドすげー!!」に尽きます。
なんつーか、見ててまったく引っ掛かりがない。
まず、バレエの振付としてはかなり異色の演目なんだと思うんですけど、
そういう点での違和感を微塵も感じさせない。
そして、動作がとても自然で流れていて、「演じてる」って感じじゃないんですよね。
「牧神を演じている踊り手」ではなくて、まさに「牧神」がそこにいる。
「手の内に入れる」っていうのはこういうのを言うのかなーと思いました。
いいもん見せてもらいました。眼福。
井脇さんのニンフも良かったです。
東バでこの演目をやると、日本人の顔にかつらと衣装があいまって、
いい感じでオリエンタルな風情になりますね。

ペトルーシュカ
いじめられっこオーラはバリバリ出ている中島ペトルーシュカ(笑)。
まあ初役だし、今後に期待ですかねー。
小出さんのバレリーナは、昨年に引き続きめちゃめちゃカワユス。
お人形さんみたい…って、お人形さんの役ですけど。ほんとそれが良く似合う。
これで完全に自分の頭にインプットされてしまったような。
別のキャストで見たらすごい違和感ありそう。
ムーア人は、顔だけ見ても誰だかさっぱりわからない(笑)。
ラッツ&スター状態だからなあ。
で、あいかわらずインチキくさいシャルラタン。

そして今回も最も反則だったのが、市場のシーンで登場する踊り子の西村さん。
緑の帽子にトライアングルがめちゃめちゃかわいい~。
この市場のシーン(1幕と4幕)は本当にてんこ盛りで、
ぜひぜひ細かいキャスト表を出してほしいです。HPででいいから。
個人的には熊の「中の人」が誰だったのかが非常に気になります。
まるでテーマパークのキャラクターのようにノシノシ歩く熊w

去年見たときにまた見たいなーと思ったんですが、1年半で再演となりました。
上演回数をこなすうちに、どんどんこなれていくかな?
特にペトルーシュカ役がなかなか大変でしょうけど、定期的に再演してほしい作品だなーと思います。