スケート・アメリカ。

というわけで、今更ながらスケアメの感想を。

○男子
・高橋くん
なんといってもSPの「HipHop白鳥の湖」ですよ。
見る前はどうなんだろうと思ってたんですが、いやはやスゴいっす。
斬新というか、フィギュアの歴史で言えば「革新的」と評しても過言ではない。
単に今までにない選曲というだけではなくて、あれだけリズム的に細かいテンポで、
あれだけ上下方向の動きがある振付というアプローチは、今までなかったでしょう。
しかも、それできっちり点数が出てくるあたりが素晴らしい。
(ま、個人的な好みを言えば、あのシットスピンは美しいとは思えませんが、まあそれはそれってことで。
 それに、あんだけ踊って最後まできっちりスピンが入るのはすごいですよ。)

旧採点だと芸術点の出方を考えるとリスキーでできない選択だったんじゃないかという
気もするので、ある意味新採点の良い部分とも言えるのかなあと。
実質シーズン初戦なんで結果自体や調子は度外視してもいいと思うんですが、
後半に向けてさらに仕上げてきてくれると期待しています!

・ライサチェック
まずSP「マスク・オブ・ゾロ」の飾り気のない衣装を見て、「やる気満々だなー」と。
んで、フリーのトスカを聴いた瞬間、やっぱりトリノプルシェンコの「変態トスカ」を
思い浮かべてしまったのですが(笑)。
うーん、なんだろう、特にステップが変態チックに見えたのは気のせい?(笑)
いや、個人的にはすごく好きです。
昨シーズンまでのカルメンもすごく好きだったんですが、
あれがこういう風に進化したのかと思うと嬉しい驚きです。
2年前のNHK杯で見たときから注目はしてましたけど、今後がますます楽しみ。

・プレオベール
諸事情によりフリーは見られなかったんですが、
SPが「アダムズ・ファミリー」な時点で「またかよ!」と(笑)。
すっごいいきいきと楽しそうに踊るプレ男。
本人が楽しそうだからまあいいのかな~。
ただ、さすがにステップで疲れて最後のスピンは速度がかなり落ちてたので、
やっぱりちょっとスタミナが課題だよねーと思いました(プログラムの構成に比して)。
ちなみに、「ちゃらららっ、ちゃっちゃっ」といういちばん有名なフレーズで
サーキュラーステップです。絶対狙ってるよなあこれ(笑)。

しかしモロゾフは、大ちゃんとプレ男でこの振り付けの違いようはどーよ。
ま、斬新であるという点では共通してますが。
正統派大ちゃんとコミカルプレ男で、自分の中でバランスを取っているのであろうか。
キャラに合わせて振付けているのでしょうが、
「アダムズ・ファミリー」で踊る大ちゃんは、それはそれで見てみたい(笑)。

あと印象に残ったのは、すっかり大人の顔になった小塚くんですかね(りりしい!)。
残念だったのは下位に沈んだベルントソン。夏場のケガで完全に出遅れちゃったなあ…。
GPシリーズでは無理せず、地元開催の世選に照準を合わせてほしいです。

○女子
下位まで層が厚すぎて飛ばして見るところがない(笑)。
嬉しい悲鳴です。
・安藤さん
点数の出方とか演技の雰囲気とかは、さすがの世界王者の貫禄が出てきたなーと。
それは良いんですけど、なんとなくスケーティングにスムーズさが感じられなかったのはちょっと気がかり。
ステップでこけたのもびっくりだし、ジャンプの着氷とかもどこかギクシャクッとしてて。
単に初戦で硬さが出ただけだといいんですけど。
もちろんシーズン初頭なので、これから調子を上げていって、
年末の全日本→来年3月の世選に照準を合わせればいい訳で。

あと、フリーのカルメンは非常に期待しているのですが、
まだまだ演技プランが固まってないような気がしたかなー。
表現そのものもそうですが、どういう方向性で演じるかが決めきれていない感じ。
女子でカルメンと言えば、なんたってあのビットの
「押し付けがましいまでに妖力全開カルメン」@カルガリー五輪があるわけで、
あのイメージを打破できるだけのカルメンとなると、さてどう作っていくんだろう、と。
モロゾフ&安藤さんのお手並み拝見といったところでしょうか。

・キミーちゃん
「のびのびすくよか」な演技に磨きがかかっていて、見ていてとても気持ちよかったです。
こういう情念をあまり感じさせないさっぱりした演技も、ここまで突き抜けてると、それはそれで面白い。
ファンが多いのもよくわかる気がします。
とはいえ、親衛隊まではやろうとは思いませんが…(笑)。
去年の世選のことを考えれば、初戦で安藤さんに勝てたのは、精神的に今後大きいかも。

・エミリー
なんかこの人の演技の良さがなんとなくわかってきたかも。
「どだ!」っていう感じの押しの強さというか、
いかにもあめりか~んなナチュラルな自信過多の風情(いや、ほめてるんすよ)が、
演技とはまるとピタッときますね。
今年はプログラムの選択も雰囲気に良くあってると思うので、楽しみ…って、
スケアメ・スケカナで2試合終わっちゃったので、
果たして今シーズン、エミリーの演技を見る機会は今後あるのでしょうか??
GPファイナル出場は厳しそうだし(安藤、浅田、キムヨナ、キミー、ジャンで
残り一枠という雰囲気)、世界選手権の出場も結構厳しそう…。
アメリカの女子シングルも層が厚いなあ~。

あと、キムヨナやキャロライン・ジャンや浅田さんみたいな人間離れした体格を見ていると、
古典的な体型のエミリーを見てるとちょっとホッとする部分もあります(笑)。

キャロライン・ジャン
で、新時代のスケーター登場。
何なんでしょう、あのパールスピン。
スゴいとは思うんですが、美しいと思うよりは背骨が折れそうで怖いです(苦笑)。
いやー、「軟体化ここに極まれり」という感じ。
ジャンに限ったことではないのですが、「ジュニア上がりの驚異の新人」は共通して、
SPは完璧でもフリーが滑りきれませんね。
きっと、体力的な問題と、あとSPで上位に入ったことによるプレッシャー、
4分間持続させるだけの集中力といった精神的な面の問題があるのでしょう。
その意味では、去年のキムヨナのように、今シーズンは経験の年、来シーズンが勝負の年で、
来々シーズンのバンクーバー五輪に向けてちょうどいいんじゃないのかなー。

あと、この子を見ていると、
「とっても色っぽくなったひらめちゃん@じゃりん子チエ」
と思ってしまうのは私だけでしょうか?
…「そう言われてそうとしか見えなくなった」という苦情は聞きませんからねっ(笑)。

あと気になった選手は、ゲディちゃんですかねえ。
新興国グルジア)の悲しさで練習環境が整わないようですが、
トリノの時のような氷上で弾むようなジャンプをぜひまた見せてほしいものです。
がんばれ~!

スケート・アメリカ(公式記録はコチラ
男子
1 Daisuke TAKAHASHI JPN 228.97 1 2
2 Evan LYSACEK USA 220.08 2 1
3 Patrick CHAN CAN 213.33 3 3
4 Stephen CARRIERE USA 196.33 6 4
5 Alban PREAUBERT FRA 194.40 4 5
6 Ryan BRADLEY USA 181.66 8 6
7 Andrei LUTAI RUS 180.88 5 8
8 Takahiko KOZUKA JPN 177.47 10 7
9 Kevin REYNOLDS CAN 169.12 7 9
10 Yasuharu NANRI JPN 153.99 9 12
11 Kristoffer BERNTSSON SWE 152.52 11 10
12 Karel ZELENKA ITA 144.51 12 11

女子
1 Kimmie MEISSNER USA 163.23 1 2
2 Miki ANDO JPN 161.89 2 1
3 Caroline ZHANG USA 153.35 3 3
4 Emily HUGHES USA 140.50 4 5
5 Mira LEUNG CAN 139.14 6 4
6 Elene GEDEVANISHVILI GEO 126.06 11 6
7 Alexandra IEVLEVA RUS 124.84 8 7
8 Mai ASADA JPN 120.49 5 9
9 Tugba KARADEMIR TUR 119.26 10 8
10 Valentina MARCHEI ITA 116.44 9 10
11 Binshu XU CHN 112.46 7 11

ペア
1 Jessica DUBE / Bryce DAVISON CAN 173.26 1 1
2 Qing PANG / Jian TONG CHN 165.19 2 2
3 Vera BAZAROVA / Yuri LARIONOV RUS 159.58 3 3
4 Amanda EVORA / Mark LADWIG USA 140.40 4 4
5 Meeran TROMBLEY / Laureano IBARRA USA 132.42 5 5
6 Laura MAGITTERI / Ondrej HOTAREK ITA 114.66 7 6
7 Stacey KEMP / David KING GBR 109.27 6 7

アイスダンス
1 Tanith BELBIN / Benjamin AGOSTO USA 192.95 1 1 1
2 Nathalie PECHALAT / Fabian BOURZAT FRA 181.84 2 2 2
3 Federica FAIELLA / Massimo SCALI ITA 172.28 3 3 3
4 Meryl DAVIS / Charlie WHITE USA 168.79 5 4 4
5 Kristin FRASER / Igor LUKANIN AZE 167.80 4 5 5
6 Kimberly NAVARRO / Brent BOMMENTRE USA 159.93 6 6 6
7 Alexandra ZARETSKI / Roman ZARETSKI ISR 157.85 7 7 8
8 Ekaterina RUBLEVA / Ivan SHEFER RUS 151.58 8 8 7
9 Cathy REED / Chris REED JPN 142.63 9 9 9
10 Xiaoyang YU / Chen WANG CHN 135.29 10 10 10