学天則復元!

日本発のロボット復元に奮闘――大阪市立科学館日本経済新聞
80年前に大阪で製作された日本初のロボット「学天則」を復元するプロジェクトに、大阪市立科学館(北区)の学芸員が奮闘している。設計図が残っておらず、当時の写真や文献を頼りにした復元作業はまさに手探り。科学館のリニューアルに合わせ今年7月の完成を目指しているが、学芸員は「できるだけ当時の姿に近づけたい」と話している。

 担当しているのは同館学芸員の長谷川能三さん(41)。同館は本物の半分程度の大きさの動かないレプリカを展示しているが、子どもらから「動くところが見たい」との声が上がっていた。市は「大阪のロボット産業のPRに」と費用として2100万円の予算を計上。昨年4月から復元作業がスタートした。

 科学館には機械工学の専門家がおらず、物理学が専門の長谷川さんが「機械いじりが好き」という理由で“抜てき”された。だが「設計図がない復元作業は予想以上に難しく、設計にかなり手間取った」と明かす。

 長谷川さんの最大の疑問は「学天則が当時どう動いたか」。実物を見た人がいないため、まずインターネットを通じて東京の古書店から学天則の記事が掲載された1931年発行の科学雑誌や、製作者の故・西村真琴氏の著書など数十点の文献を収集。大阪府内に住む西村氏の親族から写真の提供も受けた。

 しかし文献の記述は「感動しながら文字を記す動き」「英知に輝いた表情」などというあいまいなものばかり。動作を連写した写真もなく「見物客を驚嘆させたという動きがどのようなものか、資料とのにらめっこが続いた」という。

 それでも入念に写真を見比べるうち、息をしているかのように胸がかすかに上下していたり、ペンを持つ右腕はひじから先だけが動くなどの“新事実”を発見。西村氏の次男で学天則を見たことがある俳優の故・西村晃さんが、動作をまねた写真を掲載した雑誌も古書店で見つかり、大きなヒントになった。

 試行錯誤の末、大まかな設計図が昨夏に完成。現在は展示物を作る専門業者の工場で、頭部の組み立てが始まったところという。ただ内部の構造は製作しながら決めるといい「今後は工場に通いながら苦悩する日々が続きそう」と笑う。

 学天則機械的なイメージのロボットとは違い、生命感あふれる表情を浮かべていたとされる。長谷川さんは「自然な動きを目指した製作者の構想を再現したい」と話す。完成品は科学館の目玉として入り口近くに展示される予定だ。

●80年前、圧縮空気で表情・腕動かす

 学天則生物学者の故・西村真琴氏が大阪在住中に製作し、1928年に京都で開かれた博覧会に出品された。高さ約3.2メートルの金色の半身像で、内部に張り巡らせたゴム管に圧縮空気を送ることで表情を変えながら首を振ったり、腕を動かして文字を書くような動作ができたという。「天則(自然の摂理)を学ぶ」賢人の姿を模したとされる。

 欧州の博覧会へ出品された後、行方不明になった。チェコの作家カレル・チャペックが20年に戯曲で初めて「ロボット」という言葉を使った直後に製作されたため、日本初のロボットとされている。作家の荒俣宏さんの小説「帝都物語」では魔物を退治するロボットとして登場した。

↓現在展示されているレプリカの写真。
https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/a5/64/historian126/folder/1497054/img_1497054_51836399_0?2008-02-08 12:41:44
荒俣宏帝都物語』では、東京の地下鉄掘削で地底の式神たちと対決するんですよね。
7月完成目標ですか。今から楽しみです♪