『へうげもの』9。

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新刊自体は先月末に出たのですが、もうずいぶん前から継続して買っている作品。
レビューを書こう書こうと思いつつ、なんとなくタイミングを逃して今に至る…という感じです。

主人公は織豊政権期の茶人、古田織部(佐介)。
ストーリーは、織田信長に背いた松永久秀の下に織部が使者として派遣されるところからはじまります。
で、「平蜘蛛の釜」を皮切りに描かれる、織部の茶器を巡るわび数寄人生…というお話。
僕は茶道については通り一遍の知識しか持ち合わせていませんが、むしろその方が楽しめるかも。

何より面白いのはストーリーの視点の置き方で、古田織部を主人公にすることで、
千利休はもちろんのこと、信長・秀吉・家康の三人をはじめ、
明智光秀伊達政宗など多くの戦国武将を個性的に描けているのがいいです。
これはもう本当に着想の勝利ですよね。
3巻の冒頭でとっとと死んでしまいますが、それでもやっぱり一番カッコいいのは信長ではないかと。
秀吉は途中がカッコよければよいほど、やっぱり晩年がより悲惨に思えるんですよね(苦笑)。
家康はやっぱりどうもつまらんと思ってしまいます。
個人的に一番好きなのは、織田有楽斎でしょうか。
こういう食えないオッサンはいいです。理想の中年エロオヤジ…(笑)。

9巻ではとうとう利休が切腹させられていましたが、
これがみょうに説得力があっておもしろくかつ感動させられるんだよなあ。
リアリティとは無縁の展開なのに(笑 でもそれこそが創作の力)。

史実では古田織部大阪夏の陣の直後に家康に切腹させられますが、
そろそろそれに向けての伏線かな~というエピソードが連載ではちらほら出始めています。
あと3巻か4巻分で完結ですかね。ラストがどうなるか楽しみです。