『へうげもの』12。

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いよいよアニメの放送も来週からと迫ってきましたが、
連載の方も最終盤に入ってきています。

で、先日単行本の最新刊が出まして、秀吉の死までが描かれています。
実は連載時にうっかりこの最終話を読み逃していて、すっごい気になっていたんですが、
秀吉の死をこんなに愛のある描き方をした作品は他に思いつかないです。
不覚にも、なんと良い死に様なのかと感動してしまいました。

信長の死、利休の死、そして秀吉の死と、主人公である古田織部と関わりの深い登場人物の死が
作品の節目に当たっていますが、そのどれもが斬新で、
これまでのどの同時代を扱った作品とも違う、本当に個性的な作品だと思います。
そのどれもがフィクションなのですが、正しいフィクションとはかくあるべきだなあとしみじみ。
なんというか、フィクションなのに、ものすごく説得力があるんですよね。
全体として話の筋が一本きちんと通っている。

さて、秀吉の死は非常に感動的なのですが、
このエピソードで完全に蚊帳の外に置かれているのが側近ナンバーワンであるはずの三成で、
これによって、三成の秀吉への思いが一方通行の片思いで、
三成がちっとも秀吉のことを理解していなかったことがくっきりと描き出されます。
直前の家康のエピソードと対比すると、残酷ですらあるほどです。
ここまでくると、逆に三成のことが不憫に思えてきて、
で、その後の三成を連載で読んでいると、三成がかわいくて仕方なくなってくるという…
いやもう、これって完全に作者に乗せられてますよね(笑)。
なんとも素晴らしい作品です。

ということで、残る山は関が原の合戦の顛末、ラストが織部自身の死ということになるはずです。
多分あと3巻ほどで完結ですかね。
どんなフィナーレを迎えるのか、今から楽しみです。

あと、個人的に楽しかったのは作介くん(小堀遠州)の結婚のエピソード。
出席者からの返杯を両手の徳利で豪快にラッパ飲みする新婦のおかねさんを見て、
「す……凄いわ!!なんて男勝りなお嫁さん!!これなら私の力になってくれそう……!!」
と言う作介くんは、このセリフでぐんと評価を上げたと思います。
いやー、人間このくらいおおらかな方が、絶対幸せに生きられますよね(笑)。良いキャラだなー。
見れば見るほど、作介くんのモデルはジョニー・ウィアーなんじゃないかと思う今日この頃です。