『ブラック・ジャック創作秘話』4。

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手塚ファンとしてついつい買ってしまうこの作品。
だんだん『ブラック・ジャック』の話題を離れて、いろんな人の「私と手塚治虫」インタビューになってきてますが、
だからこそ面白い、とも言えます。
普段はレビューを書いてませんが、本巻は大林宣彦の話が非常に面白かったので。

何が面白かったかというと、「ピノコヒョウタンツギ論」ですね。
ヒョウタンツギが妹という禁欲の象徴である、というのはなるほどでした。
で、手塚治虫ブラック・ジャック宍戸錠という実写版(監督大林宣彦)のキャスティングが不満で、
だからピノコの「先生の宍戸錠」という迷文句が生まれたというのは初めて知ったんですが、
大林が、「”ヒョウタンツギで撮りますよ”(=映画で手塚論をやる)」と言ったのが、
手塚は気に入らなかったのではないか、と言っているのは、
半分はそうかもしれないけど、半分は違うんじゃないかなあ、と。
というのは、上記の「先生の宍戸錠」の続きは、まさにヒョウタンツギオチのコマだからです。
(心電図にヒョウタンツギが出る
ピノコ「あーんヒョウタンツギがでたわのよ!!」
→B・J「そいつはいい じゃあたぶんこの患者は治るぜ!」)
これって、「ヒョウタンツギで撮りますよ」に対する、手塚の答えなんじゃないかなーと思うんですよね。

あと、「六畳間の青春」のエピソードで、アニメ文法を手塚がアシスタントから学ぶ話も面白かったのですが、
登場する三人のアシスタントのその後について、
月岡貞夫さんは東映動画から虫プロを経てアニメ制作会社ナックを設立世界的なアニメーターとなる」
なぬー!ナックってあの『チャージマン研』『まんが水戸黄門』のナックのことか~!
ちなみに、三人の中には『ダメおやじ』の古谷三敏がいるので、
なるほどだから『ダメおやじ』のアニメ版はナック制作なのかなー、と。

個人的にグッと来たのは、編集長の壁村耐三が、締め切りに遅れてばかりの手塚に言うセリフです。
「先生は漫画家の手本でしょう 毎週こんな状態じゃ人が悪いとこばかりマネします しっかりしてください」
…別に人様の手本になるような立場の人間ではありませんが、できるだけ締め切りは守ろうと思います、はい。