マイノリティの権利。

フランスで同性婚が法的に認められることになりましたが、このことの何が素晴らしいかというと、
「社会的マイノリティの権利が民主的な手続きに沿って認められた」点でしょう。
というのは、民主制というのは基本的に多数決の原理で動くので、
見方によっては「少数派の意見が反映されにくい制度」であるとも言えるからです。
少数派の意見は票にならないので、選挙結果に及ぼす影響は小さくなるし、
政治家や政党にとっても、政策課題としての優先順位は低くなる、ということですね。

私もそうですが、自分が同性愛者ではない人にとって、同性婚を認めるかどうかというのは、
基本的に自分の利害に直接は関わりません。
もちろん、利害は無くても、それに賛成なり反対なり何らかの態度表明をする人はいるでしょうが、
利害に関わらないことに対する態度として最も多いのは、自然状態であれば、「無関心」でしょう。
にもかかわらず、今回のように少数派のニーズが法に反映されたということは、
そこに直接の利害関係を持たない多数派が、少数派のニーズに積極的に寄り添った結果だと言えるわけです。

民主制下における少数意見への配慮の重要性というのは、お題目としては常に言われることですが、
現実にどの程度配慮がなされているかというのは、なかなか難しい問題です。
それがこうして実現するというのは、やはり社会の成熟の一つの形を示しているのではないかと思います。